Louisiana Folk Roots
Spring 2004 Dewey Balfa Cajun and Creole Heritage Weekend
(at Lake Fausse Pointe State Park 2004/4/2 - 5)






4月1日(木) ※前日、敦子さんはサン・アントニオ在住

 Heritage Weekend のキャンプ地に家から3時に着くには、家を朝の7時くらいには出なくてはならない。 それから深夜までのイベントに参加は辛いので、余裕を持って、一日前に Lafayette に入る事にする。 3時過ぎに息子を学校に迎えに行って、ダンナの元に送り届けて出発。 Housotn を6時過ぎに通過すれば、それ程混んでいないかと思ったが、停滞気味が数箇所あり、疲れる。 Lafayette に着いたのは夜の10時過ぎ。 予約もせずに、Red Roof Inn にチェック・イン。 明日の朝からに備え、スキムミルクを買わなくてはならなかったので、Albertson に買いにいっただけで、あとは何もせず、ひたすら休むのみ。 明日の準備と、アコーディオンを少し弾いただけで寝る。


4月2日(金)

 ゆっくり目に休み、朝ご飯も部屋で食べて、昼前にホテルを出る。 まずはガソリンを入れて、アイスボックスに足す氷を買う。

 お昼に、今まで食べそびれているプレートランチ・レストランの Laura’s 2に行く。(1904 W.University Avenue) 料理の カウンターに居る人も、レジの人も、片づけしてる人も皆黒い人ばっかりで、こういう所は大体美味しい。 金曜はシーフードのある所が多いのだが、ここも Crawfish Etouffee (エィ・トゥ・フェーという感じの発音) があったので、それをを頼む。 付け合わせはオクラの煮込みとポテトサラダにした。 Etouffee は、思ったよりはあっさりしていたが、美味しいのは美味しい。 ここはホンマに、ローカルの人が昼ご飯を食べに来る感じの所。 お客さんは黒と白半々くらいかな? それと今日は黄色い奴一人(笑)。 いつもはこんなに早く昼ご飯食べないんだけど、今日は忙しいので別。

 それから Evangeline Throuway にある観光案内所に行く。 Lafayette の電話帳があったので、貰って来る。(これは良く行く身としては、結構重宝するのです)

St.Martinville の中心街

 午後1時過ぎ、そろそろ Lake Fausse Pointe State Park に向かわなくては。 Lafayette から40分くらいかかるらしい。 地図と行き方を参照して、まずは Breaux Bridge に出て、そこから 31 を南下 (今回はこの道を何度通ったか? ) St.Martinville に入り、 メインプラザの横を通ると、今夜のダンス用のステージを組んでいる所だった。 止まって写真を撮ろうと思ったのだけど、通行止めになっていて、車を停めにくいので、やめて Lake Fausse に向かう。

 今回の Heritage Weekend キャンプの会場 Lake Fausse Pointe State Park は、ミシシッピー河から派出した広大な Atchafalaya (アチャファラヤ) スワンプの端っこにある。 New Orleans と Lafayette の間の I−10 を走った事のある方なら、このスワンプはご存知だろう。 Levee (堤防) が、川や湖を含む、その広大なスワンプの両側に延々と作られている。 Lake Fausse は、その Levee の外側に隣接している。


 畑の中を延々と行き、行き方の通りの交差点を曲がるが、地図では道の横にあるはずの線路が見えないし、迷ったかと不安になった頃、Levee (堤防) に出た。 ここからは Levee Rd をずっと行けば良いので、安心。 しかし堤防の上も下も、工事中であちこち掘り返していて、凄い埃。 他の車の後ろにつくと、霧の中運転状態である。 おまけに路面が土のままで、ガタガタなのでスピードが出せない。 堤防の上に上がってみると、Atchafalaya Swamp の景色が少し見えるが。

左/ Levee Road   右/ Levee(堤防)の上


 いい加減オケツが痛くなった頃、State Park の入り口が見えた。 いやー、秋に行った Chicot も奇麗な所だったけど、ここもなかなか。 橋を渡った所にある入り口ゲートで「Balfa Camp に来ました」と言って入る。

 Conference Center でチェックインらしいので、その辺の人に行き方をききつつ、行く。 Center に着くと、建物の前で今回のインストラクターである Al Berard (べラール) 、Dexter Ardoin、 D'Jalma Garnier (元 File (フィレー) のフィドル&アコギ) が話をしてたので、Al に挨拶しに行ってちょっと世間話。

Al 「Levee はえらい事になってるねー、僕、家からずっと Levee で来たら、1時間半くらいかかったわ」

そうだったのか。舗装するらしいですが、いつまでかかるやら・・・ Dexter 君も、こっちの顔は覚えてたので、去年の11月に会ったとか少し話す。 Al Berard は、12月の Medicine Show 以来かな。


 Center は2階建てで、上が食堂やコンサート、ジャム・セッションの会場となる。 入るとすぐ、Cheryl Castille さんが、参加者にキャビンの振り分けと、鍵を渡していた。 Cheryl さんは、去年始めまで Opelousas で What Bayou というお店をしていたのだけど、お店を閉めたあと、去年の暮れくらいから、この Louisiana Folk Roots のスタッフとして働いている。 私のキャビン11は、私が一番乗りだったので、軽く説明を受けて、鍵を持って車で行く。

 キャビンは湖のほとりで、道から建物まではボードウォークが作ってある。 外にはポーチがあって、とても奇麗。 中に入ると、冷蔵庫と電子レンジのあるキッチンと、暖炉のついたリビングがあり、バスルームが広い。 しかし、ベッドは狭かった。

 取り敢えず荷物を運び込んでいると、相部屋の人もやってきた。 シアトルと、ポートランドからそれぞれ来た女性で、二人ともフィドルを習いに来たという。 軽く紹介しあって、ベッドはどっちが良いかとか、決める。 かなり汗をかいたので、お風呂を浴びた。 その頃、もう一人来ると聞いていた日本女性が到着。 カズコさんという人で、軽く挨拶しあう。

 このキャビン、寝室は二つあって、一つは2段ベッドが2つ (4人) 、もう一つはカップル用の、ちょっと大きいベッドが入っている。 もう一つの部屋のカップルもやってきた。

 4時にまた、車で Conference Center に行く。 色んな人がいて、David Doucet、Paul Daigle (ディグル) 、Mitch Reed が演奏している。 お迎えの演奏って、粋だね。

 私がクラスをとるはずの、BeauSoleil のアコーディオン・プレイヤー Jimmy Breaux (ブロー) がいたので、挨拶。 12月に話した時に言ってた新しい C のアコーディオン、もう入手しましたか?と聞くと、作ってもらっていたのは D だそう。


Jimmy 「もう出来て、家にあるけど、それは今回は持ってきてない」

12月の Medicine Show で弾いてた緑は C とばかり思い込んでいたので、話が噛み合わなかったが、作ってもらった赤の Gros Bec は D で、 Medicine Show で弾いてた同じく Gros Bec の緑のも D という事らしい。と言う事は、あの時、一時間のステージずっと D だったのか。

Atsuko 「Chanson Pour Tommy (Cajunization 収録) は D で弾いてるんですね?」
Jimmy 「そう」

納得。(しかし、早々質問してるなあ) 新しいアコーディオンは出来たばっかりらしい。 まだ蛇腹開いたらバリバリ音するでしょ? っていうと、頷いてた。

 Christine Balfa Powell が、生まれて間もなそうな赤ちゃんを抱いている。 去年見たとき、2月が予定とか言ってたので、まだニヶ月たったかたたないかくらいかな。 Christine はとても幸せそう。 上の娘さんも赤ちゃんから女の子になってきた感じで、可愛い。 やっぱり Christine に似てきたかな、ちょっと。


 まずは、スタッフの人が今回のキャンプについて、簡単な説明などをする。 そのあと、Christine が、インストラクターの紹介。 BreauSoleil のリーダーでフィドラーの Michael Doucet はまだ来ていなくて、明日の朝来るらしいけど、Al Berard 始め他のインストラクターを次々に紹介して行く。

 午後 5 時過ぎ、そこから、今夜のダンス会場まで行くバスの停まっている場所まで、また自分の車で行く。 バスは、あの黄色いスクールバスだった。 私は米国で育った訳でないので、これに乗るのは初めて。 席は狭いので、乗り心地は良くないが。 同室のカズコさんの隣に座り、簡単にどういう仕事をしているとか、話す。 彼女は東京の某大学で、教授をしていらっしゃる。 で、教えているのが南西ルイジアナの文化だとか。 人類学なんだが、そんな専攻もあるのね、と、ちょっとびっくり。 この数ヶ月は University of Louisiana Baton Rouge に滞在で、色々研究をされているらしい。 楽器はされないので、この Heritage Weekend には、レクチャーを聞きに来られたらしい。

 行き道では、St.Martinville の関係者による、この地域についての色々な説明があったのだが、その前に各自の自己紹介をさせられて、一番前に座っていた私たちから紹介を始めた。 説明は、ケイジャンと一口に言ってもフランス系だけでなく、色々な国、人種の混合である事や、この地域には何処の出身者が多いとか、そういう一般的な事。 行き道に、Pine & Oak Alley という並木道があるのだが、これは昔のプランテーションの跡地だった。(建物は現存せず)


 先ほど通ってきた St.Martinville の町の中心であるプラザに着く。 ここは Bayou Teche (テッシュ) 沿い、 Evangeline Oak がある所で、なかなか奇麗な所である。 その Bayou 沿いの道を通行止めにして、今夜のダンス、Preston & Keith Frank−Frank Family Band が演奏を始めている。

 前から気になっていた Creole Museum というのは何処ですか?とバスで説明していたおじさんに聞くと、ダンスで通行止めになっている道に沿って建っていた。 正しくは St.Martinville Cultural Heritage Center という。 African American Museum と Museum of the Acadian Memorial というのが、一つの建物の中に入っている。 普段はこんなに遅くまでやってないんだけど、今日は特別に7時まで開いている。


 受け付けの黒人のおばちゃんが、Preston の演奏を聞きながら
「良いわねえー、けど私、Beau Jocque が一番好きやけどね」
Atsuko 「ああ、もう見られませんねえ」

African の方には、Nathan Williams の兄で、Nathan & The Zydeco Chachas のギター弾きであり、画家でもある Dennis Paul Williams の壁画があるというのを聞いていたので、見に行く。 彼特有の奇麗な色使いで、このあたりのクレオールの人たちの肖像画である。 Acadian の方と両方の展示を一通り見て、もう少しゆっくり書いてある事などを読んでいたかったが、バンドが気になるので外に出る。

 Cheryl Castille のダンナさん、Blake さんがいた。 フィドラー Hadley Castille の息子で、バンドのギタリストでもある彼、ツアーに出てる筈だったのに、キャンセルか何かになったらしいので、キャンプには参加されるとの事。 良かった。 Blake さんが Jimmy Breaux に私を紹介しようとしたけど、もう知ってるのだ。 しかし、Jimmy は私がアコーディオンを持っていて、それで習いに来たとは知らない。

Jimmy 「いや、それは知らんかった」
Atsuko 「去年、入手したばっかりなんです」

 元 File (フィレー) のアコーディオン弾きで、今は Blake さんと Lucky Playboys をやってる Ward Lormand が、わざわざ挨拶に来てくれる。 何でも、最近 San Antonio の私の知り合いが、彼らのステージに飛び入りしたんで、宜しく言うといて、と言われてたらしい。

 特設テントでディナーを配ってるのは・・・良く見れば、Opelousas で Back In Time というカフェをやってる Wanda さんやありまへんかー。 わはは、知り合い総動員。 今回のキャンプの食事のまかないは、彼女たちがやるらしい。 牛と豚を食べない私は、大概の場合ベジタリアン食をリクエストしておくが、今夜はジャンバラヤで、ベジタリアン・ヴァージョンもあった。 これが、なかなかいけた。

 今夜の催しは、この Louisiana Folkroots 主催だが、一般公開されているので、常連のザディコ・ダンサーも色々来ている。 いっつも、何処でも会うので、本当に知り合いになってしまってる人たちだ。


 Preston Frank は、Keith Frank の父で、彼が演るときは Keith がギターになって、Keith のバンドをバックにする。(9月の Festivals Acadiens のレポート参照)
フィドルは大概、Balfa Toujours の Kevin Wimmer が演る。 Preston のアコーディオンは、シンプル弾きの極み、と言うて良いかも? 口で音取れそうな感じというか。


 Keith の姪と、ベースの Jeniffer の息子がまた、ステージで踊っている。 何ヶ月かごとに見るたび、二人とも大きくなっているのがわかる。(当たり前ですが)
ステージの途中で、知り合いか何かで、ステージで踊ってる子供が段々増えていったのには笑った。 Jennifer の息子は同じくらいの年の可愛い女の子と踊っていたが、Jennifer もニコニコして見てた。 ステージの後ろの方では、Preston の奥さん、つまり Keith 達のお母さんもいた。

 途中で Al Berard がギターに入り、Keith Frank がアコーディオンを担当。 彼自身のヒット (?) 曲を演っていく。 Preston お父さんは休憩。 Al ははっきり言って、Keith よりギターが上手い (笑) というか、もともとフィドルでなく、ギター弾きだったのであります。 Keith は大半3ローを弾いた。 最後の方、またアコーディオンが Preston に戻って Big Mamou を演った時、Jennifer のやる気なさ満点のヴォーカル (笑) も聞けた。 彼女は美しい人なのに、なんかいつもつまらなそうにしている。


 帰りのバスは、DVDで Nimo の映画がかかっていた。 Jim & Christy(11月8日レポート参照) が近くに座ったので彼らの話を聞く。

Jim 「帰ったら、ゲート閉まってるかも」

の話で、ゲートの鍵の番号がどうのこうのというのを、なんとなく聞いていた。

 カズコさんとまた隣に座ったので、色々話をしたが、彼女は89年に南西ルイジアナに初めて来られたらしい。 その年は、私が初めてルイジアナ (ジャズフェス) に行った年と同じである。 しかし、私は南西ルイジアナにやっと来たのは、それから9年たった98年だったけど。 カズコさんはそれから、時には数ヶ月滞在なさったりしているらしい。 当初から、ザディコのナイトクラブにも行かれていたが、今と違って、非クレオールが行くのには、かなり根性が要る感じだったそうだ。

カズコさん 「その状況は、8年くらい前からかな、がらっと変わりました」

そうか・・・ちょうど私が行き始めた頃やな。 音楽が専門でないとはいえ、その頃からそんな活動をしていた人がいたのか・・・ そんなんで、今は亡きミュージシャンも、色々見てはります。


 Lake Fausse に戻り、Conference Center のジャム・セッションに行く。 Al Berard、Jimmy Breaux、David Doucet が中心になって演っていた。 アコーディオンは車にあるけど、参加できるような腕もないので、座って見るのみ。

 年配の女性が声をかけてきた。 さっき、Wandaさんと一緒にディナーを配っていた人で、Wanda さんのお母さんだと。

Atsuko 「さっきのベジタリアン・ジャンバラヤ、美味しかったです、レシピ教えて欲しいなあ」
Wanda母 「あんなの、初めて作ったのよ・・・けどね、Zataraine のミックス有るでしょ、あれ使ったの」
Atsuko 「え?なーんやぁ、けど、マッシュルーム・スープ入ってませんでした?」

なんでも、既成のジャンバラヤ・ミックスに、ピーマンとかネギとか缶のマッシュルームを入れ、マッシュルーム・スープで煮込んだらしい。 今度作ってみようっと。

 ジャム・セッションは盛り上がっていた。 大好きなアコーディオン弾きと、大好きなフィドル弾きと、大好きなギター弾きのセッションなのだが、明日があるので、後ろ髪引かれつつ、キャビンに帰る。 (後で知ったが、セッションは朝方まで続いていたらしい)
同室のお二人は、さっさと寝ていた。


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