The Original Southwest Zydeco Music Festival (P.4)

5番目 Step Rideau & The Zydeco Outlaws。
5時過ぎからの彼ら、ステージにまともに西日が当たって、かなり辛そう。
ベースがお気に入りの Stan Chambers だったので良かったんだけど、ステップは疲れていたのか普段のアコの切れが少し鈍かったのが残念。
まあこんな日もあるさ。
今年のフェスでは彼が唯一のヒューストン・ザディコ、お客さんたちはそれなりに踊ってはいたけど、反応は少し鈍かった気がする。





ステップの途中でザディコ・ダンス・コンテストが始まった。
MCの人が「コンテストに参加する人、ダンスフロアーに来てください」と観客に言っているんだけど、出足が鈍い。
すると常連ダンサーの男性2人がダンスフロアーで踊りだしたので、事情の解ってる人爆笑。
(南西ルイジアナでは男女カップルのダンスが基本、ケイジャンで女性同士がダンスする事はあれ、ザディコでは見ないし、どちらにしても男性同士ってのはない)
本人達はいたって真面目、な訳なく、途中で退場してました。


6番目、J.J.Caillier &The Zydeco Knockouts。
春に見たときはベースが Chuck Bush だったのに、今回は知らない人。
それかどうか、ちょっと大人しい目。
この人、もう少し個性が必要な気がします、ってんで疲れてるのもあってあまり真面目に見てなかった上にまともな写真もなし、ゴメンね。
彼の演奏は何度か見たことあるんだけど、以前はピアノ・アコ専門だったのに、最近は3ローとケイジャン・アコばかり。

このあたりで8時、あたりはそろそろ暗くなってきた。
昼間は暑いので夕暮れあたりに来るお客さんも多くて、この頃が一番混んでいたかな?

7番目、Curley Taylor &The Zydeco Trouble。
件のチャック・ブッシュはこっちに加入していた。
バンドの乗りが全く違うんで、Beau Jouque のバンドにいた時みたいな名物飛び散りベースではなかったけど、そこはやはりチャック・ブッシュ、カーリーのバンドの乗りが以前にも増して良くなったと思う。
それもあってか、カーリーは飛ばしていた。
あの重くてでかいピアノ・アコも、長身の彼にはとてもよく似合っている。
新譜も出して今、かなり乗っていると思うカーリー・テイラー、このまま行けぇ。

サン・アントニオ組はカーリーの途中で退場、今夜のスリムズ・ワイキキには行かないのね。 日もとっぷりと暮れた9時過ぎ、空の向こうにはお月様と、反対側の空には稲光、会場はもう怒涛のザディコ攻め。






8番目、Chris Ardoin &Nustep。
数年前まではあんなに好きだったのに、のに、のに。
何故か最近のクリスには燃えない。
なんだか感情がこもってないんだよな。
ステージでも Best Kept Secret なんて古目の曲も演ったのに、これが全く新しいアレンジ、最近のクリスの音になっている・・・わざと感情を押し殺したようで躍動感なし。
最近の R & B 色の強いこの路線は私、好きじゃないです。
音が頭の上を通り過ぎていって、体が動かない。
バンドも纏まってるし、ボトムもしっかりしてるし、Chris もとても良いミュージシャンなんだけどな。
クリスが以前 Doble Clutchin’ と名乗っていた時のギターで昔は Boozoo Chavis とも演っていた Nat Fontenot が帰ってきていたけど、彼は最近のクリスをどう思っているのかな?
そんな事を考えつつ、半分はタオルに寝転がりながらどろーんと聴いていた。

隣で座っていたカリフォルニアさんが「なんだか体が動かなくて退屈だわねえ、最近のクリスはキース・フランクみたい」って言うのを聞いて、私も全く同じ事を感じていたので笑ってしまった。
キース・フランクのあの一本調子なところを想像させたんだけど、キースはもうちょっと抑揚があるし、いなたくてホッとするところがあるもんね。

カリフォルニアさんは友人の一人にこのあとトレイルライドに Brian Jack を見に行こうと誘われていた。
なので、私にスリムズまで車を運転して行っておいてもらえないか、後で合流するからと。
私は構わないよ、けどこれから Mamou の先だかの、彼女らが行った事ないところに行って、暗い中を田舎道にあるトレイルライドの会場を探すのはかなり無理なんじゃないか?と話す。
カリフォルニアさんもあまり乗り気じゃあないみたい。
その(非常に行動的な)友人はクリス・アルドワンのステージを最後まで見て、私達のところに来た時は既に11時前、時間的にかなり無理だと諦めたみたい。
賢明だと思う。




実はこの日は私も、予定ではフェスと同じ時間に二つ見たいのが重なっていた。
一つは Jimmy Breaux & Friends が ラフィエの、それも南の外れのレストラン Randol's で。 もう一つは Henderson の McGee's Landing で Joe Hall。
どちらもプレイザンスから遠いし、自分の車がないので宿で同室のニュージャージーさんが行くなら連れて行ってもらえるかどうか、刻々と予定が変わる彼女に委ねていた。
特にジミー・ブローは見に行かないのは気が引けたんだけど、ランドールズまで一時間はかかる。
その後フェスに戻ってこなくても、オペルーサスのスリムズには戻ってこないといけないので、また同じくらいの行程を帰ってくることになる。
南西ルイジアナに来るといつも、タイムテーブルとにらめっこになることが多い。
結局は後ろ髪を引かれつつ、どちらにも行かなかったんだけど、結果はと言うとどちらもキャンセルになっていたという、行かなくて良かったぁ!パターンとなった。

最後の Lil Nathan &The Zydeco Big Timers は11時からなんだけど、スリムズでのジェフリー・ブルッサーが深夜12時から始まるのに遅れたくなかったので、始まる前に会場を出る。
駐車場でリル・ネイザンの始まりを聞きながら汗だらけの体を拭き、これでサヤエンドウを料理できるんじゃないかってくらい塩の吹いたタンクトップを着替えていたら、空からぽつぽつ降ってきた。
良いタイミングで車に来て正解。

カリフォルニアさんと2人で雨が降ったり止んだりの中をオペルーサスに向かう。
既に一雨来たあとのスリムズ・ワイキキに着いたのが11時半ごろだったのに、入った途端ジェフリー・ブルッサー&ザ・クレオール・カウボーイズが始まった。
(予定では9時〜12時までステップ・リドーで12時から2時までがジェフリー)
時間より遅れるのは良くあれど、早めに始まるかぁ?とにかくちょっと早めに来てよかった。

かなり久しぶりに来たスリムズ・ワイキキ、お客の入りは思っていたより少なかった。
以前よりずっと椅子とテーブルが少なくなっていた。

今夜のジェフリー、なんか音が硬いなあと思って、連絡行き違いになっていてやっと会えたサウンド担当の友人に聞いたらやはり、ステップの機材を使っていた。
ジェフリーのアコの音が硬いし、ドラムのチューニングががかなり甲高い。
クラッシー・バルー・Jr のベースは篭って聴こえないしって、これはハコのせいですけど。
サウンドマンさんもかなりあれこれやっていたけど、人のシステム使ってってのは難しいよね。
それでもやはり、最近のクリス・アルドワンを聴いた後にジェフリーを聴くとほっとする。
ほっとするだけじゃなくて、体も動く。
さっきフェスのダンスコンテストで踊ってた男性二人を含む一団もこっちにいたので、踊る。

クレオール・カウボーイズではギター担当の D'Jalma Garnier が居なかったので聞いたら、抜けたんだと。
彼自身がマルチプレイヤーでフィドルも弾けるのに、ギターに専念している上に影が薄かったので、何となくうなずいてしまった私。
新しいギターは Michael さんというでかい人だけど、以前からちょこちょこ一緒に演ってた人だ。

仕事中のサウンドマンさんだけど合間に一緒に座って色々話した。
ジェフリーご一行は今日の夕方はトレイルライドで演ってたんだけど、雨が降ったので早めに切り上げたとか。
本当はぎりぎりのはずだったのに、だからこっちにも早めに来れて早めに始めたという訳か。
明日も同じトレイルライドがあるんだけど、雨の場合は中止という事。
サウンドマンさんはこのあとヴァケーションなので、明日はオフ。
彼は昨夜は結局、ラングラーズのステップ・リドーを見に行ったらしいけど、告知不足か客入りはかなり悪かったらしい。


- ラブボードは飛び入りの人 -

ジェフリーは2時間弱しか演らず、またステップがステージに戻った。
まあそれでも、今回見れて良かった。
ステップ・リドーは何故かベースがスタン・チェンバースではなかった。
さっきフェスでは弾いてたのになんで?用事があってヒューストンに帰ったのか?
そのせいか、ステップ のアコは良かったけど、バンドとしての重量感が少し足りなかった。
ステップは途中でジェフリーをステージに呼んで、お互いの功績を称えあっていた。
男2人のアツい友情!?確かにどちらも暑苦しいタイプではあるな。
2人ともパワー押し引き系のアコ弾きだしねえ。


出番を終えたクラッシー・バルー Jr.や他のメンバーにもちょこっと挨拶して話す。
交代の合間に外に出てジェフリーが最近買ったツアー・ヴァンを見せてもらった。
大人の男性が立てるくらい天井が高くてなかなかいい感じ。
これでトレイラー引っ張ってあっちこっち行くんだねえ。
ミュージシャンっていつも大変な仕事だと思うし、ヴァンくらい居心地良くてもいいよねえ。

結局2時過ぎまで演奏が続き、居心地も良かったので終わりまで居た。
ジェフリーに3月に録音していた新譜どうなってまんねん?と聞いたら、来月にはあがる・・・ってホンマかぁ?
春からそう言うてるような気がするけど、まあ気長に待ちます。

ブルームーンに戻ったのは3時ごろ、とーーーーっても長い一日だった。
既に横になっていた同室の2人が私達の帰りが遅いので心配してくれていた。




*ザディコ・フェスティバルあとがき*

フェスティバルの朝、会場から10分くらいのオペルーサスでは、ザディコ・ブレックファストという野外で朝食とライブというイベント(無料)があるのだが、何故か当日の朝には行くのをすっかり忘れてしまっていた。
今年は Guyland Leday のちびっ子アコ弾きと、超ベテランのクレオールアコ弾き Goldman Thibodeaux で、ほのぼのと楽しそうだったのに。

フェスティバルでメインのステージとは別にテント(Heritage Stage)で行われるレクチャー/ワークショップ、今年はやっていなかった。
ウエブサイトにも漠然とした形でしか書いてなかったけど、何かはするのかと思っていたのに。
ニュー・ジャージーの女性も「やってなかったね」と言ってた。
楽しみにしてたのに、残念。
前回ザディコ・フェスに参加した8年前は、始まる前の雨でワークショップのテント一帯が水浸しになって中止になったんだったなあ。

昼過ぎにフェスティバル会場で常連ダンサーの一人とダンスしたあと、オペルーサスの新聞記者という人から短いインタビューをされた。
いつもは「メディアお断り」の看板を掲げているのだが(嘘、だが人目に触れるのが嫌いなのでカメラは避ける)疲れているのもあってあまり考えずに話をしていたら、次の日の新聞に私が載っていたらしい。


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