9/21 (Sun) 谷口敦子クロスレポート

 雨、雨だー、それも結構降ってる。 けど、今日はテントの方での Creole Music Workshop が見逃せないので、めげずに支度。 せっかく持ってきたので、また自転車で出かける。

 ザディコの元祖ともいえるクレオール音楽を演奏する人たちが、これだけ並ぶと壮観。 それに、若い人が多いのも、嬉しい。 Dextar Ardoin(アコーディオン) を一番左に、Joe Hall(アコーディオン)、Mitch Reed (フィドル、唯一の白人)、Corey ”Lil Pop” Ledet(アコーディオン)、Cedric Watson (フィドル)、と、ギターのおじさんがいたが、名前失念。 Cedric Watson に関しては、あんなに若いクレオールの子が、フィドル弾くのは始めて見た。 嬉しいことである。

 テントには、既に中林さん達がいたが、ザディコ・フェスの主催者、Paul Scott 氏も来ていた。 彼とは、コンフントの情報を送ったり、情報交換しているのだ。 いつも、とても愛想の良い人で、あつい Hug をくれ、やあやあーと挨拶。

 Dextar Ardoin は、前にお父さんの Morris(フィドル) と二人だけで演ったのを見たことがあるのだけど、あれーこんなに力強いアコだっけー??って思った。 いやはや、3オクターブ多用で
ばばばばーっ!! (←太字2倍フォントでお願い)
と弾かれると、中林さんと私の目は点になっていた。
・・・こ・・・こんなん、出来ひん。
あ、3オクターブ弾きというのは、ダイアトニック・アコでは 3つづつ離れたボタンを弾けばよいのだけど、それほど簡単ではないんですよぉ〜。

 Chris Ardoin もそうなんだけど、Ardoin ファミリーのアコーディオンは、芸が細かいのに、力強い。 Bois Sec 爺ちゃんも、今はもうあまり弾けないけど、若い頃は力強かった。 ってーか、今でもあれなんやから、力強いといえるか? Chris のお父さん、Lawrence は、とても叙情的だけど、やっぱり Ardoin の音だと思うし。 ということで、私はやはり Ardoin ファミリーのアコーディオンのファンであることを再確認。

 ステージ横で、Mitch Reed と Joe Hall が一緒に録音した新しいCDを売っていたので買う。 聞くと、Dextar Ardoin の新しいCDもあるらしいので、売ってる人を探して買う。 (Joe Hall という兄ちゃん、初めて見たと思ってたら、先日写真整理してて、Geno Delafose のファン感謝パーティーの時に見たことあるのに気づいた、ははは・・・あんまり特徴ないんで、忘れてました)
Mitch Reed は、メインのステージで Charivari が始まるので、そちらに移動。 変わりに、楽器は弾かないけど、Paul Scott 氏がコメンテイターとしてそこに座る。
Lil Popp Ledet は、ライブを何度か見逃していて、金曜に初めて会ったくらいなので、アコ弾くのは初めて見 たのだけど、やっぱり上手い。 噂だけはありそうで、バンドで見たい。 なんといっても、ショッキング・ピンクのアコですもんね。
最後に皆でいっせいに弾いたのだけど、なんか合ってない。 あれ?Dextar 君が苦しそうな顔をしてるぞ・・・どうした?

 終わってから、Dextar Ardoin と話す。
あつこ 「クレオール音楽で一般的なアコのキーは、やっぱりCですか?」
Dexter 「そう、あ、けど僕のはBフラットやけど」
「それはあなたの声に合わせて?(声が低いから)」
D 「そう」
「もう一人のアコ弾きはC使ってたよね、あー、それで最後に皆で弾いた時、苦労してたの?」
D 「そうそう(笑)」(いくら上手くても、やはり違うキーでは合わないよねえ)
「ところで共演してたフィドラーやけど、(Cedric Watson)あんなに若いクレオールの子がフィドル弾くの、始めて見た」
D 「僕も3曲くらい弾けるよ」
「あー、そうなんですかー」
 Dextar は、ドラムも叩くし(2年くらい前には Nathan Williams のところのドラマーもしていた)、芸達者である。
「お父さん(Morris)は大丈夫ですか? 2年位前、事故に逢ったでしょ?」
D 「父はね、ちょっとアルツハイマーで、調子の良い日と、悪い日がある」
「え?そら大変だ・・・お父さんとはもう演ってないの?」
D 「父とは活動を分ける事にしました、このバンド(新しいCDをさして)で活動していけたら良いと思ってる」
「この新譜、ドラムもギターも入ってるのね・・・このギターの Blake Castille は友人なの」
D (ニコニコ)
「あなたはフルタイム・ミュージシャンですか?」
D 「いや、コカコーラで働いてるよ、けど、この新譜のバンドでもっと活動していきたいと思ってる」




 Dextar は Chris Ardoin と5ヶ月くらいしか年が離れていないらしい。 しかし、Chris と違って、素朴だけど愛想が良い(笑)。 笑うと、とても可愛い。(ひいき目)

 次のバンド、Lucky Playboys は、Dextar の新譜にも入ってる、ギターの Blake Castille のバンドで、元 File(eの上にダッシュ、フィレ)のアコ弾きなどもメンバー。 けど、私はアコーディオン・ビルダーの Larry Miller に会いに行かなくてはいけないし、中林さんももう一回会いたいとの事で、バンドが始まる前にちょっと、と一緒にクラフト・ブースのエリアまでてくてく歩いていく。 クラフト・ブースはふたつのステージからまだ少し離れたところにあるのだけど、行ってみると、殆どの店が閉まってた。ありゃー、雨で来なかったのか??

 仕方ないので、まだ朝ごはんを食べていない中林ご両人と、食べ物を仕入れに行く事になった。 Lucky Playboys を遠めに見て聞きながら、会場の対極位置にあるフードブースへ。 私はフローズン・レモネードだけ買う。 何故かフェスで走り回ってると、食欲がなくなるのだ。 音楽で脳みそ使い果たしてるからか? なので、フェスの後家に帰ると、痩せている。

 メインステージの Charivari を聞きながら、中林さんたちと座って食べる。 このバンドは結構好きで、今日も良い音してるぞう。 フィドルでリーダーの Mitch Reed は若手(30前半)では、シーンの中心人物だと思う。 横目で見つつ、聴きつつ、中林さん達とも話ししたいし、忙しい。

 このあたりで、アコ・ビルダー Larry Miller のお孫さん、Blake 君に会う。 Larry さんは今日、ブースには来たのだけど、雨なので、1 時ごろ帰られたそう、残念、すれ違い。

 そのあと、あっち行ったり、こっち行ったりしながら、メイン・ステージの Balfa Toujours を見る。 ここはいつもゲストがあり、今年はフィドラーの Adam Hebert(エイベアー)が入る。 Festivals Acadiens は、毎年ケイジャン音楽に貢献した人に捧げられるのだけど、今年 は、この Adam に捧げられている。 彼のナンバーは、ケイジャンのスタンダードになっているし、ザディコでも演ってる人多し。 Geno Delafose の一番新しいのに入ってる「La Pointe Aux Pins」もそうで、この曲も演った。




 テントの方に、少しだけ Roddie Romero を見に行く。 この人、Steve Riley でギター弾いてる時に初めて本物見て、それでは何回も見てるのに、ソロで見るのは初めて。ロックしてました、やっぱり。


 メイン・ステージで Steve Riley & Mamou Playboys の時も、やはり雨。 カメラが濡れないように、バンダナかけるけど、やっぱり濡れる。 フェスのステージという事で、コンパクトにまとまってたけど、Sam Broussard の 2曲はちゃんと演って、 彼が結構フューチャーされてる、ええぞ。 後半、ドラマーの Kevin Dugas の娘さんが出てきて歌った。 可愛い〜、お父さんに似てるけど、可愛い(どういう意味や?)。




(雨でもあるし、この後はカメラはカバンに入ってました、よって写真なし)

 またテントに Lil Nathan を見に行く。 Nathan & The Zydeco Chachas の Nathan の息子で、親父さんのバンド・メンバーの多くがバックを勤める。 親父 Nathan と(多分)お母さんも観客席で座って見ていた。 Nathan は、4 歳くらいの男の子(多分末っ子)を抱いていたのだが、彼も将来は・・・

 Lil Nathan は、ケイジャン・アコ、3 ロー、ピアノ・アコ全て弾きこなす。 デビューCDではちょっと硬い感じなんだけど、ステージはもっと良い。 歌も上手いし。 しかし、今回見て思ったのは、だんだん親父さんに似てきたということ。 個人的には、親父さんの重めのを引き継ぐより、彼自身の音を追及してくれーと思っているのだが。

 Lil Nathan のあと、メイン・ステージではまだ Wayne Toups がやってるので、中林さんたちと見に行く。 をー、凄い!!といっても、ステージでなく、観客なのだが。 泥の海と化した芝生で、数人の女の子が泥レスしているのだ。 ステージを見てるのは、前の 3 列くらいで、4 列目から後ろは、その後ろで泥レスしてる、数人の女の子にしか目が行ってない。 という私も、ステージよりそっちのほうが面白かったりして(わはは)。 Wayne Toups は、普段は入っていないフィドルを二人も入れて、フランス語の歌中心に演っていました、とだけ 書いておこう。

 さて、これで今年の Festivals Acadiens も終わった。
中林さんたちと、このあとどうしよう?と相談。 Whiskey River Landing は Geno Delafose で、中林さんはもう見てるんだけど、Geno というよりは、あのハコには是非行ってもらいたいなあ、と思い「今からやったらまだ、最後の方だけ見られますよ」とけしかける。 そういう私も、昨日は Traiteurs と全く重なっていたし、今回は Geno を全く無視してしまってる。 挨拶程度に見に行きたいな。 という利害関係(??)が一致して、ご一緒する事になりました。

 私は自転車を置きに帰り、急いでドロだらけの足を洗って、用意してると、車を取りに行っていた中林さん達もやってきた。3 人で、中林さんの Boozoo 号で出発。

 中林さんも買った Dextar Ardoin の新譜をかけながら行くが、これ、ええねえ〜。 I-10 まで出て、Henderson 出口まで飛ばし、そこから Atchafalaya Basin の堤防(Levee)へ。 しかしここ、何回も行っていても、夜には、道がかなりわかりにくい。 街灯なし、真っ暗なので、看板を見落とさないように気をつける。 中林さん達も、これは彼らだけでは来られなかっただろうとおっしゃってました。 (一応)有難がってもらってるようで、良かった。 私は人に運転してもらって楽チンだし。 車中では、大阪弁講義になり、「あー、そこの「どんつき」右ですわー」・・・って解ります?とかやっていた。

 着いたのは、終演予定の 8 時前であったけど、やはりまだやってた。 この時間になると、もうチャージもしてない。 中に入ると、3 年くらい前まで Geno のドラマーだった Germaine がドラムを叩いてた。 遊びに来てるのか? 暇そうなドラマー Curley Taylor と少し話す。 常連さんが沢山いて、ベース弾き Popp の奥さんもいたので、やあやあ、と挨拶。 Geno 妹とそのダンナ、Leo Thomas のおじさん(ドラマーで、元は Preston Frank と演っていた)、いろんな人がいて忙しい。

 Geno は、今まで見たことない、Martin の青いアコを弾いていたのだけど、たまに音がはずれてるよー・・・・どないした? 演奏は行ってから 25 分くらいで終わってしまった、というか、25 分余分に続いた。 少しダンスもしたし、良かったとしよう。

 中林さん達に、明るかったら、こっちが全部スワンプなんですけど、暗くて何も見えませんね、と説明。 帰りは、同じ道を通るよりも、折角なので Breaux Bridge を通って行こうと思い、来た道とは違うほうへナビゲート。 老舗ケイジャン・クラブ La Pouserie の前を通り、「この道で、2 年前に車をお釈迦にされた」話をする。 Breaux Bridge の名前の由来(?)となった跳ね橋を通過。(ザリガニの絵がついてる) そのすぐそば、ここがザディコ・ブレックファストで有名な Cafe Des Amis です、と案内。 ケイジャンの生演奏が毎日聴けるレストラン、Mulates の前も通り、一通り Breaux Bridge のナイトツアーは終わり。

 Lafayette に戻り、私の車まで送ってもらい、名残惜しいけど、中林さん達とお別れを言う。 今回は多分、目次を見るような忙しい旅行だったと思いますけど、また来てください。 南西ルイジアナという所、田舎の集合体なんだけど、ホンマに見る所、行くところが多い。 これだけ狭い地域に、これだけ沢山の違った文化が点在するところというのも、そうないのでは?

 私はそこから、Bluemoon Saloon に行く。 Marce Lacouture のスゥイング・バンド Nouveau String Band を見に。

 知り合いのお姉さんと、そのご家族がいて、一緒になごむ。 彼らの家族が、バンドのベース弾きになっていた。 少しすると、(Geno ベース弾きの)Popp と奥さんもやってきた。 なんやー、来るんやったんか〜って、彼ら、ここは始めてらしい。 さすがにおなかが空いてきたなー、と思っていたら、キッチンに食べ物があるらしいので、取りに行く。 ガンボがあったので食べたけど、シンプルながら、おいしかった。 汁気の多い、南西ルイジアナのガンボだ。 知り合いや Popp 夫婦とわいわいやって、楽しくて、もっと早く引き上げようと思ってたのに、結局終わる11時半までいてしまった。

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