9/20 (Sat) 谷口敦子クロスレポート

 今日も良い天気〜!
なので、持ってきた自転車で Festivals Acadiens の会場、Girard Park へ。

 11時から始まってるのに、ちょっと遅れて12時前に着いたので、メイン・ステージの Kevin Naquin は終盤しか見られず。
彼ら、来週うちの地元で演るので、気を抜いてしまった。 Kevin は、ライブは良いんだけど、CDでは Steve Riley フォロワーの色が濃すぎて、もひとつ好きになれないとこがあった。 けど、ギターで、まだティーンエイジャーの Ashley Heyes ちゃんが入ってから、もっと元気が出たような感じ。 彼女にはがんばって欲しいなー。

 次の Ray Abshire。
ステージには、第一回の Festivals Acadiens で、Ray が Dewey Balfa と一緒に演奏している写真が飾られた。 Ray は、そんなオールドタイマーで、おじさんではあるけど、アコーディオンはおっさん臭くはない。 ちょうど先週、地元で見た若手ケイジャン Lost Bayou Ramblers のアコーディオンとフィドルが、今日はそれぞれアコギとアコ・ベースでバックを勤めている。 昨夜 Grant Street で話した Kevin Wimmer と、Kevin と同じく Balfa Toujours でフィドルを弾く Courtney Granger もステージにいて、ツイン・フィドルである。 Ray は殆ど目をつぶって弾く。 ベース以外は座っての演奏、とてもアコースティックなんだけど、お客さんにも受けが良かった。

 元 Bluerunners、現在は Lost Bayou Ramblers のドラマーも見に来ていたけど、こういう若い人達が、 Ray Abshire のようなスタイルとあまり変わらないものを継承していくのも最近のケイジャン・トレンドのようです。

 次の Jason Frey、オーソドックスだけど、張りのある演奏。 こういうのも好きで聴いていたかったけど、Heritage Pavillion(テントのステージ)で、Bluerunners なので、そちらに移動。

 Bluerunners はこの Festivals Acadiens には初出演だそうな。 始めの方をフィドルとケイジャン・アコのチューンでやり、後半少しだけ Mark Meaux がギターに持ち替えてロック・チューンという感じ。 ここのアコーディオン弾き Adrian Huval は、テクはそれ程ずば抜けてないけど、あったかい感じのアコを弾くので好きなのだー。 彼はまた、ケイジャン・アコの他にはボタン式クロマチックを弾く、ケイジャン界で珍しい人でもある。

 ここで中林さん御一行に会う。 昨夜勧めておいた、Breaux Bridge のザディコ・ブレックファストは、さすがにパスされたようだ。

 写真を撮りながら、座って見てると、後ろにいたお客さんが 「今日、Chris Ardoin が何処かで演るよ、Wranglers かどっか」というのが聞えた!! 思わずその人の首を絞めて(嘘)「Chris が何処でやるんですって??!!!」 その人も確かではなかったので、あとで Chris の親父さん(マネージャー)に電話する事にする。 しかし良かった、この時この話を耳に挟んでいなかったら、今回 Chrs Ardoin は見逃していたのだー。 ドタキャンというのは良くあれ、ドタ決まり(そんなんあるんか?)の多い南西ルイジアナである、アンテナは常に 張っていなくてはいかん。

 テントは Preston Frank & Family Band になり、ステージの上が一気に濃くなる。(肌の色の話だけではない) これは Keith Frank の親父さんで、バックはまるまる Keith Frank のバンドが勤める。 というか、昔はこうやって、Keith が父のバンドでギター、Jennifer がベース、Brad がドラムやってたんだけど。 ここのレギュラーのフィドル、Carlton Frank は健康上の理由で、ステージにはあがれないらしい。 なので、現在は Preston Frank でも、Creole Connection(Keith Frank の変名プロジェクト)でも、Kevin Wimmer が代わりを勤めている。 Preston はかなりオーソドックスな人で、お馴染みのクレオール・チューンを演奏していく。

 ステージ裏に Traiteurs のメンバーが到着しはじめたので、Preston を聴きつつ、お話モード。

 Traiteurs のドラマー、Danny Kimball と話していて知ったのだけど、 ななななな、なんと今日のアコーディオンは Errol Verret ではない。 Errol は仕事で来られないそうで、Danny も代わりに誰が来るか知らん、と。(なんと呑気な) えええええええええ?Traiteurs にあのアコがなかったら、乗りが全然、全然違うやんかあああああああ。 んー、無理して木曜に来て、先に一回見ておいて良かった。

 結局、アコは昨夜 Grant Street で会った Kyle Hebert らしいということになった。 そうか、ベース弾きの彼はアコーディオンも弾くのかぁ。 そうこうしてると、Kyle がやってきたので、誰のアコ持ってるのか聞いたら Falcon のだと。
「それ、4ストップの?それとも6ストップの?」
「6ストップのやつ」
「あ・・・あとで触らして」と思わず言ってしまう。

 Zachary Richard、Marce Lacouture、Steve Riley などがうろうろしてて、一体誰が Traiteurs に飛び入りするんやろー、の世界。 ケイジャン・フィドラーの Hadley Castille もいたので、もしかして飛び入り?と聞くと、そうらしい。

 Traiteurs が始まったのだけど、前の方で聴いてると、音のバランスが悲惨だった。 Sonny Landreth のギターがキャンキャンした爆音状態。 おまけに器材のトラブルなのか、途中でステージから降りてしまった。 次の曲で復活して、音いつもの Sonny の音になったけど、バランスはあまり良くならない。 アコーディオンは結局良く聴こえずじまい。

 途中で Hadley & Blake(息子、ギター) Castille が入ったけど、これは良かった。 Hadley はウエスタン・スイングっぽいケイジャン・フィドラーだけど、パワーあるのよね。 Traiteurs に彼らが合うとは思いもよらなかったけど。 Hadley は、Traiteurs のレギュラーのフィドル、Al Berard とは縁が深い人なんだった、と気づく。 この他、Zachary Richard と Marce Lacouture が飛び入りで歌った。

 そんなこんなで、Traiteurs が終わると、かなり疲れた。 後ろで聞いていたという友人は、音は良かったと言う事。 バランスどうのこうの言うてる私以外は、かなり乗ってたようですが(笑)。 んー、がんばって前に張り付いてなけりゃよかった。

 疲れて、もーどーでもええわーという感じになってきてしまったので、ステージの裏の椅子に座り込む。 しかし、Kyle Hebert がアコもって来たときは、ちゃんと見せてもらった。
Falcon の6ストップのアコは、一台で、そのストップの組み合わせでキーが変えられるという優れもの。 Kyle のは「C」と「D」で、ベースボタンの方にもストップが1つ付いていて、その上げ下げで、ちゃんとメロデ ィ・ボタンに合うようになっている。 「C」で弾いてみると変わった音だったので、チューニングをきくが、Kyle はドライかウエットか知らなかった。 ほんでもって、6リード全開で弾いてみたが、変な音だった、ははは。 やはり4リードしか使えないようになってるんですね、当たり前だけど。 理屈は解るけど、こうやって実際に弾かせてもらうと、もっと良く理解できるような気がする。

 Traiterus の次は、全員ティーンエイジャーのケイジャン・バンド La Bande FouFollet(フォフォレー)。 ここ、春にメンバーが代わってすぐに見たけど、その時より良くなってた。 しかし、テントの中が暗くなって来て、オートでない私のカメラでは撮り辛くなってきたので、のんびりする事にする。

 FeuFollet を聴きながら、裏のパヴィリオンで、中林さんのアコを弾かせてもらったり、ルイジアナの友人にその アコやら、中林さんが Chris Ardoin のに本公演飛び入りの写真などを見せたりする。 今日のこれからの予定を話したり、ザディコのアコーディオンについて講釈したり。 こういうのもまた楽し。 メイン・ステージでもちょっと見たいのがあったけど、もうパス。

 そのあたりで思い付いて、Chris Ardoin の父(件マネージャー)Lawrence に電話して、今夜本当に Wrangler’s で Chris が演るのかどうか聞く。 どうやら本当らしい。

 かなり疲れてたので、そのあとはテントの外の芝生でへたり込む。 まあ座って FeuFollet を楽しむのもよし。 ・・・・・と、疲れている場合ではない。 フェスのあとは、ナイトクラブと、まだまだ続く。 今日は Chris Ardoin と Keith Frank のハシゴだーーー!

 7時過ぎにひとまず宿に帰り、一風呂浴びて、仮眠しようとしたけど、やっぱりこの興奮状態では無理(笑)。 中林さん達は9時頃 Wrangler’s に行ってると言う事だけど、そんなに早う始まらん、と思ってる私は少しのんびり目に出かける。 思ってた通り、9時半を過ぎてでもまだ始まってなかった。

 Wrangler’s は Lafayette のすぐ北、Carencro にあるナイトクラブで、ザディコのクラブではない。 雰囲気は、カントリー&ウエスタンというところか? 客は圧倒的に白人が多く、カレッジに行ってるような若い子も多い。 アホな客も多いので、ハコとしてはそれ程気に入ってる訳ではないけど、Chris を見に行くのに文句は言うまい。 ステージに照明がない(!)ので、私のマニュアル・カメラはかばんに入ったままであった。 (以下の写真は、またまた中林さんのレポート参照)

 ドタ決まりのせいか、客少なし。 知り合いの常連ダンサーも、誰も来ていない。 Chris がまだサウンド・チェックしてた。 中林さんによると、この普段の Chirs の音と、日本での音はかなり違ったらしい。 スネアの音が甲高くて、カーンって感じなのよね、こっちでは。 ベースの効かせかたもかなりのもんやし。 今日のレパートリーは、割と古いのからも演って、楽しい。

 中林さんたちは、11時半ごろに Keith Frank の方に移動。 私はやっぱりもう少し聴きたかったので、居残る。 3ローに持ち替えたとき、La Robe Barre を「普段はやらないけど、リクエストがあったから」と言って始めた。 聴きたかったので嬉しいこの曲、トラディショナルなんだけど、3ローで弾いてるのね。 といっても、Chris って、その日によって使うアコが違う。 Geno Delafose とかは、同じ曲はいつも同じアコで同じキー、アレンジも殆ど同じなんだけど、Chris は見るたびに何か違う事してくれる。 そういうミュージシャンシップのある所が好きなんやああ。 アコの上手さと力強さは格別であるし。 これでショーマンシップがあれば・・・・というのは贅沢か?

 顔見知りのアトランタのダンサーの人がやってきたので「Hamilton’s 行かなかったんですか?」ときくと、 そっちから流れてきたらしい。 「あーんまり混んでるから、こっち来た」とな。 ・・・・予想はしてたけど、やっぱりか。

 結局12時半頃まで Chris を見た。 クラブを出るとかなり疲れてたし、Hamilton’s は Lafayette の南端、つまりここから対局の位置にあるので、このまま帰ろうかと思ったけど、「まあ、たまにしかこっち来ぉへんし〜、がんばろか〜」とアクセルを踏む。

 Hamilton’s はほーーーんまに混んでた。 もう1時ごろというのに、外まで人があふれてて、建物から湯気立ってる感じ。 カメラも持たずに、気軽に入る事にするが、中はむっとしてる。 クレオールのダンサー常連の友人が「やー、来たのか」と抱きしめてくれるが、汗でびしょびしょである。 「さ、触るな・・・」とはさすがに言えなかったが(笑)

 ベースの Jennifer は、お誕生日なのか、可愛いドレスにピンでお金を留めてある。 しばらくすると、じろうさんが見つかった。 中林さんたちも、ど真ん前で見てた。 しかし、居るだけで汗が出てくる感じなので、知り合いと少し踊ったあと、Kieth に手を振って挨拶して、小一時間いただけで、引き上げる事にする。 明日もフェスなので、体力を使い果たすのは避けたい。

 あとで聞くと、Keith Frank は3時ごろまで演ってたらしい。 そりゃ体持たないってば。 帰って良かった。

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