−二日目− HOUSE OF BLUES


 現地日時 1997.11.7(金) 曇り am9:00起床

 昨日は夕方に到着したので、今日は 昼間のニューオリンズを楽しまなくてはと思い、まず、ガイドブックの通りに殆どミ シシッピ川に近いジャクソン広場の前にある「カフェ・デュ・モンド」にて名物のベニエ (四角い揚げドーナツに粉砂糖をかけたモノ)とカフェ・オレを頼む。旨い旨い。 アメ リカ南部でカフェ・オレとドーナツなんておかしいかと思うかもしれないが、この辺 はフレンチクォーターと呼ばれる様に昔はフランスの植民地だったらしい。通りや 建物の様式や名前もフランスっぽい物がかなり残っている。

カフェ・デュ・モンド1 カフェ・デュ・モンド2
 外のテーブルのまわりにいる大道芸人やミュージシャンも見飽きたので、昨日入手 した「オフ・ビート」という音楽情報誌(ニューオリンズ内のホテルやレコード屋等に置 いてあるフリーペーパー)で今日行くべきライブハウス/バーを探す。この雑誌がまた 素晴らしい。その日毎にちょっとでも名の知れた人や店の情報が全て記載されている のだ。ほんとに痒い所に手が届く内容。まず、夕方からはエディー・ボ(ピアニスト)のラ イブがこの近くの「マルガリータビル」というバーであるのを発見。次にpm9:30からマ ーヴァ・ライト(ゴスペル&R/Bシンガー)が此処よりカナルストリート方面に行った所の「ハウス・オブ・ブルース」 というレストラン+ホールでやるらしい。それと気になったのが多 分時間が重なってしまうだろうpm11:00からリヴァース・ブラス・バンド(ニューオリンズを代 表するパワフルなブラスバンド)が「ジョーズ・コージー・コーナー」という所でやるらしい。 しかし場所が判らない。後にホテルのフロントの白人の兄ちゃんに聞いてみたら渋々、 地図に印を付けてくれた(ルイ・アームストロング公園の北側)が、「この辺はかなり危ないぞ。 俺もまだ一度も行った事は無いんだよ」と教えてくれた。地元の人間もビビる様な所 らしいのでおとなしくマーヴァ・ライトの方にする事に決定。

ルイジアナ・ミュージック・ファクトリー  カフェでの朝食も終え($2.40安い。チップは$1で良いかな?)、ひとまず町中を歩い て有名なレコード屋「ルイジアナ・ミュージック・ファクトリー」に行く。因みにフレン チクォーターは結構狭いので何処に行くにも急ぎでなければ歩きで十分だ。店内は 結構広い。この広さにニューオリンズの音が詰まっていると思うとワクワクしてしま う。日本のレコード屋なんて、ニューオリンズの区分けさえ無い店が多いというのに! CDの値段は日本での輸入盤と同じくらいかな? 大体$12〜15に9%の消費税がかかる 程度。以外だったのがPヴァインの日本盤がかなり店頭にならべてあるんだよ。おそ るべし日本のブルースオタク度! 結局この日はCDではなく、プロフェッサー・ロ ングヘアー(ニューオリンズの伝説のピアニスト1980没)の95年のトリビュートピアノコンサート のポスター($15)を買った。福田氏は何枚かのCDを買っていたようだが。この店に はライブ情報も多いので多分これから毎日寄るであろう。

 遅い昼食。昨夜入れなかったレストランの一つに行く。やはりある程度は列が出来 ていてたが、夕方のライブハウス巡りまでは時間があるので並んでみた。店の名前は 「アクメ・オイスター・ハウス」。約20分程で着席。俺はジャンバラヤとビールを、福田 氏はガンボを、それと2人で生ガキを半ダース注文した。ムチャクチャ旨い! 昨夜 の小洒落た店なんかより、だんぜん旨い。(店内はちょっと汚いかもしれないが)生 ガキも半ダースなんて言わずに1ダース頼めば良かった。日本のカキに比べると臭み がまったく無い。レモン汁を1、2滴かけるだけでOK。日本のカキが楕円形に近い形 に対し、こっちのは円に近い感じだ。

 ニューオリンズは旨い! アメリカで旨いモノが食えるのはメキシコとニューオリ ンズだな。(各地のチャイナタウンも入れとくか?)

street  昨日、今日と結構寒いので上着を探した。しかし、安いモノとなると観光客相手の 店に置いてある”NEW ORLEANS”と大きいロゴの入ったXLサイズのトレーナーぐらいだ。 それじゃあちょっと目立ちすぎなので普通の洋服屋を見てみると結構な値段でやはり 大きいサイズばかりだ。黒人達が着ているようなヨレヨレで地味な上着は何処で売っ ているんだろう。あきらめて、持っていたネルシャツを2枚重ねで着た。

 夕方、エディ・ボ のライブを見に「マルガリータビル」というバーに向かう。小さい バーだ。カウンターと幾つかの丸スタンドテーブルで部屋の一角がステージになって いる。オーダーを取りに来た白人お姉さんは結構可愛いが鼻ピアスをしていてちょっ とジャンキーっぽい。ビール一杯は$2.30程。いろんな種類のビールがあるが、つい ハイネケンを頼んでしまう。福田氏はもちろんコーラ。

 pm5:00頃、白い髭を生やして円柱の帽子(インド風)を被り、眼鏡の奥から可愛い 目をキョロキョロさせて老黒人が店に入ってきた。その人こそエディ・ボだ。僕はこ の人の昔の写真しか見た事がなかったし、恥ずかしながら曲すら聴いた事がない。名 前を聞いた事がある程度だった。マネージャーらしき黒人女性も赤いターバンのよう なものを被っている。まず、一人でピアノの前に座りポロポロと音を出し始めたのだ がそのピアノは生ピアノではなくてヤマハのクラビノーバといういわゆる電子ピアノ でやんの! なんだよ、そんなんで強いアクセントとか表現できるのか? という不 安を抱いているうちに他のメンバーの、E.G.とDrs.の黒人二人がステージに出てきた。 エディ・ボよりはあきらかに若いと思うが、なんかモッサリとした黒人のオッチャン 二人組だ。Drs.は何故か”KISS”(誰もが一度は写真で見た事があるだろう、派手なメイク をした有名なハードロックバンド)のTシャツを着ている。

 ビールを飲んでいるうちに演奏が始まった。これが、結構カッコいいじゃないです か。左手で8ビートを力強く刻むブギウギスタイルのピアノに乗せて年齢に負けてい ない勢いのあるボーカルが響く。E.G.は音量は控えめだがいきなりギターを背中にま わしたり、尻に持ってきたりして弾きだした。(しかし、あくまでゆっくりと(笑)) BEN E.KINGやOTIS REDDINGの曲をやって、リクエストにも応える。そこである客 がどうやらニューオリンズで有名な曲を聴きたいと言ったのか、マルディ・グラをや って欲しいと言ったのか定かではないが、”MESS AROUND”続いて”BIG CHIEF”をやって くれた。もう、ニューオリンズの宝であるピアノ奏法のオンパレード。冷静に見てみ ると、そんなに難しい奏法はやっていない筈だがなぜにこんなにカッコイイのか!?

 一回休憩を挟み、終了。満腹状態で「マルガリータビル」を後にする。しかし、ニュ ーオリンズの夜はこれからだ。大抵、メインアクトはどこでもpm9:00以降にスタート するらしい。今夜はマーヴァ・ライトを観に行く。場所は「ハウス・オブ・ブルース」カ ナルストリートからディケターストリートにちょっと入った所にある。 フレンチクォーター内では大きい方のハコだ。だから結構大御所ミュージシャンのステージを よくやっている。先日もスティーブ・ウインウッドが出演してたらしいが。(三年前 だったら観たかったかもしれない) 先週はR.Lバーンサイトが来ているな。でも、 これは来月新宿パークタワーホールでのチケットを買っているので良しとするか。

HOUSE OF BLUESチケット  pm8:30 店に入る。レストランとライブハウスが別れているので注意。(レストラン の方からもステージが見えるようになっているのかもしれない)スタートはpm9:30な のでちょっと腹ごなしにフライドチキンとビールを注文する。客席の至る所にテレビ モニターが設置されていて今店内に流れているBGMのCDジャケットとそのミュー ジシャンについての経歴等が表示される。音響ブースをちらっと覗いたら結構ハイテ ックな設備でマッキントッシュなどが並んでいた。

HOUSE OF BLUESナプキン  pm9:25 フライドチキンがきた。何分かかってるんだよ。もう始まっちゃうじゃないか。 急いで食べて下のダンスホー ルへ下りてステージ上手前へ行った。バンド構成は Drs. E.G. B. p. Ts. As. Tp. インストでスタート。次にB.の黒人がヴォーカルをとる。やっとメインのマーヴァ・ ライトが登場。丸い。絵に書いたような南部の黒人肝っ玉かあちゃんと言った感じだ。 両方の鼻の穴の間が広い。以前ビデオで観て、強烈過ぎるなぁと思っていたがまさか 観れる事になるとは、、、。やはり、パワフルな声量だ。「あれだけの体格ならあの くらいの声量はあたりまえだ」と福田氏は言っていたが。それと驚いたのがゲストで ボ・ドリスが出てきたのだ。ボ・ドリスは日本ではあまり有名ではないが、ワイルド・マ グノリアスのメインヴォーカルである。独特のダミ声で”HEY NOW BABY”を歌う。 カッコイイ。福田氏もメインの マーヴァ・ライトよりも良かったと感じているに違い ない。もう一人ゲストでマーヴァ・ライトの息子のダベル・クロフォードという、若干 二十二歳のシンガーが出てきた。ネルシャツ・ジーパン姿という普通のストリートキ ッズのような出で立ちだが、これがまた素晴らしいシャウトぶりなのだ。ステージを 走り回って、かなりブッチ切れてる。白人にはちょっと怖かったに違いない。実際、 客は少し引いていたように思える。昔、サム・クックのライブ盤が猛烈過ぎて白人に は受け入れられないという理由で発売延期になった当時の状況を目の当たりにしたよ うだ。「ダベル・クロフォード」この名前は覚えておこう。ステージは二部構成で、 どちらかと言うと第二部の方がよりブルージーだった。ゲスト二人の出番も多かったし。 マーヴァ・ライトの誕生日が近かったらしく、司会者が大きいケーキのプレゼントと 「あなたにニューオリンズの女王という称号を与えたい!」というような事を言って いた。それを聞いた福田氏は「ニューオリンズの女王はアーマ・トーマスだろ!」と、 なかなかキビしい。まあ同感出来ないこともないが、、、。

 たしか午前一時頃終了。それと、トイレに行くときは小銭を用意して行くこと。なぜ かと言うと此処のトイレには黒人のオッチャンがデーンと洗面台に構えていて、手を 洗い終えると、むんずとペーパータオルを手渡してくれる。もちろん洗面係という立 派な仕事なのでチップをあげなければならないのだ。まぁ、紙ごときに$1.00 払うの も勿体ないでしょ。後に発覚したが、手を洗わないでサーっと出てっちゃうヤツが多 かったなぁ。

大満足満腹ぎみで「ハウス・オブ・ブルース」を出る。ぜんぜん眠くないのでとりあえ ずバーボンストリートをぶらついてみる事にしたが、たった今凄いライブを観たば かりなのでこの辺りの音にはぜんぜん耳が向かない。逆に酔っぱらっていい気にな っている観光客がムカツク。

 就寝:午前5時頃


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