Louisiana Folk Roots
Spring 2004 Dewey Balfa Cajun and Creole Heritage Weekend
(at Lake Fausse Pointe State Park 2004/4/2 - 5)


4月4日(日) ※三日目

 夏時間一日目。

 このスケジュールで睡眠時間が一時間短いのは残酷だ。 しかしまあ、今日も良い天気。 キャビンの中の写真を撮り忘れていたので撮る。

 キッチンでシリアルを食べつつ支度に手間取ってると、9時になってしまい急いでパビリオン1に向かう。 またまた Jimmy Breaux のアコーディオン・ビギナー・クラス。 今日も蜂は相変わらずぶんぶん飛んでるし、アリゲーターさんは日向ぼっこしてた。

 今日の 2 ステップ練習曲は Colinda。 わー、なんやー、また自分が練習した曲かいな・・・と内心ちょっとがっかりしたけどブリッジの部分をやってな かったので良かった。 勿論メインのメロディもちがうし、ちょっとだけブレンドも入ってたので、これも良かったか? またまた Jimmy 先生は各自を回って色々チェックしていく。 私の所ではメインのメロディの最後の所がちょっと違うで、というのと、とちったら「もう一回弾いてみ」と。

 ずっとやっていたかったのだけど、今日は午前中全部がアコーディオン・クラスではない。 パビリオン1のクラスが Band Lab になった。 Band Lab とは、良くあるマイナス・ワンCD みたいなのを、実際に体験できるクラス。 プロの人にバックをつけてもらい、自分が弾いてみられる。 私は参加できるレベルでもないので見る事にする。

 Mitch Reed や David Doucet がやってきて、プロの人とアマの人を楽器別に幾つかのグループに振り分けてる。 で、Mitch Reed のグループはパビリオンから向かいの木陰に移動してしまった。

 Jimmy Breaux もこの Band Lab に参加するはずなのだが、出番がなく持て余してるようなので、 ここぞとばかり BeauSoleil と彼のソロの CD をごっそり出して、 どの曲をどのキーのアコで演ってるか覚えている限り教えてもらった。 録音が済むとそういうのを忘れる人って結構居るので控えめに聞いてみたのだけど、 かなり昔の録音のも一生懸命思いだそうとしてくれた。

 BeauSoleil も Jimmy のソロもケイジャン・アコは大体は C と D で演っているとか。 それ以外は3ロー( C G F ) 。 しかし、彼らのヴァージョンが好きなスタンダードの Jeunes Filles de la Campagne (La Danse de la Vie 収録) は B フラットやと・・・(Yoshitakeさん、アコ貸して!)
同じCD収録のオリジナルであり、私の大好きなインストの L’Ouragon は C との事。

Jimmy 「これはかなりトリッキーやけどね」
Atsuko 「はい、前に音とってみたけど C でやってるというのさえ解りませんでした」
Jimmy 「これで大体合うてると思うけど、キーが間違うてたら後で教えて」

ははは、そんな大それた・・で、

Jimmy 「あんた、ええ耳してるよ」と言っていただく。
Atsuko 「いやー、もう長い事この音楽聴いてるから・・・」

ははー、お世辞にしても嬉しい。 Jimmy は、こういう機会 (Lab) とか、セッションでも後ろの方で弾いてみた方が良いよ、とアドバイスしてくれる。 はいな、という訳で弾いてる人の真似して少し弾いてみる。

 気が付くと Dexter Ardoin が後ろに座っていた。 私のアコ見て Larry Miller のやね、って言う。(彼も同じ)

Atsuko 「今回、あなたのクラスも取りたかったんやけど身体一つしかないから取れないよー」
Dexter 「あはは」(仕方ないよね、という感じ)
Atsuko 「あなたのアコ、とても好きなんやけど、まず私はケイジャンを習得したいから」

納得してはりました。 ここで、彼が Nathan Williams の所でどのくらいの期間ドラムを叩いてたのか、Chirs Ardoin の所はとか話を聞く。 どっちも一年半くらいしか居なかったらしい。 けど、居た時期を聞いてみると私はどっちのバンドでも Dexter を見ていると思う。 彼、3ローも何台か持っているんだけど、そのうち一台 (Castarigani) を売りたいらしい。 Dexter はそのあとフィドルを弾いていた。

 Jimmy の3ローは Hohner の Corona3なんだが、それ程高い物ではないけど音が好きなんだそう。 これは3リードのアコーディオンで、あんまりケイジャンとかザディコで使ってる人は居ないと思う。 コロンビアのヴァジェナートは殆どこれみたいだけど。

 テーブルの上に置いてある Jimmy のアコを良く見ると・・・ん? ストップが全部下がってる? ?

Atsuko 「あれ? これ・・・」
Jimmy 「ああ、使わへんときはこうしてる、こうすると埃が中に入らへんから」
Atsuko 「あー、そうなんですか、私のビルダーさんはね、ストップを触らないようにって」
Jimmy 「へぇー、何でやろね? 」

Jimmy は昨日はしなかったけど、Chanson Pour Tommy の後半、スピードが変わる所をストップを下げて弾く。

Jimmy 「たまに3つとも下げて弾いたりするよ」
Atsuko 「そうですね、2つの時と、3つの時も見た事ある」
Jimmy (Dexter や他の人に C のアコについた傷を指して) 「これ、飛行機でやられたんや・・・ハードケース壊されたの」
Atsuko 「弁償してもらいました? 」
Jimmy 「いや、これ (傷) は僕のせいやねん、ケースの中に仕切りしてなかったから」

2台入るアコーディオンのハードケースなんだけど、中に仕切りをしてなくて、ケースが壊れた時にアコーディオン 同士がぶつかって傷がついたらしい。

Atsuko 「けど、ハードケースも安くないでしょ? 」
Jimmy 「安くないよ」

100何ドルか、とか言うてはりました。

Jimmy 「飛行機の中にのって離陸を待ってると荷物乗せるのが見える事があるやろ、 たまに僕のケースが運ばれて行くのが見えるんやけど、乗せ損ねてかなり高いとこから落っことしてるの見たりするんや、 ホンマにストレス溜まるよ、あれ」

ツアーの多い BeauSoleil、メンバーも大変だろうけどアコーディオンさん達も落っことされるは傷は付くはで、なかなか大変である。


 Jimmy だけでなく、David Doucet も持て余していて、David の甥にあたる Mathew のフィドルで、3人でジャムってる。 ここで Jimmy が「弾いても良い? 」と私の紫のアコを弾いてみていた。 私の紫も、Jimmy に弾かれて嬉しそうだった。(ホンマか? )
写真撮ると言うと「Wayne Toups の顔せなあかんかな」と顔を作っておどけていた。 ・・・なんで Wayne Toups なんやろ?



 せっかくなので私は Jimmy の Acadiana (Leland Colligan 作) を弾いてみる。 でへへへ、いっつもステージで弾いてるやつやぞー。 彼のサム・ストラップはリュックサックとかのナイロン・ベルトみたいな素材で、つまり皮ではない。

Jimmy 「この方が柔らかくて弾きやすい」とか。

確かに柔らかいけど皮みたいに伸びないからいいかも? 今、ステージで使ってるのこの C は、まだ新しいらしい。 蛇腹もボタンも思ったほど柔らかくないし、特にベースボタンが硬くて弾きにくかった。 Jimmy はバンドで弾くときはベースボタンを使わないからメロディ・ボタンに比べて固いのかも知れない。

 Jimmy は、紫アコを「ええアコやね」と言って返してくれた。 お世辞かも知れないけど、やはり嬉しい。 それに、慣れてるだけでなく、やはり弾きやすいのよ、私の。

Jimmy 「あーお腹空いた」
Atsuko 「朝ご飯食べてないんですか? 」
Jimmy 「食べてない、起きたらクラスが始まる10分前やった」

そうか、金曜は夜中のというか朝方の4時までセッションで、4時間しか寝てないとかいう話だったし、疲れるよね、そりゃあ。 というので少し早くご飯に行かれました。 殆ど話するだけのクラスだったけど、色々質問したし、面白い話も聞けたし、充実していたとしよう。

 Band Lab が終わった Mitch Reed がやってきたので、彼と (やっと) 話す。

Atsuko 「Jimmy ってやっぱ凄いよ、あんなアコ弾く人、他に知らない」
Mitch 「そうやね、彼は凄い」
Atsuko 「それに Michael Doucet の書く曲も凄い好き、BeauSoleil ってやっぱええバンドやと思うわ」

という話を振ってみたが、Mitch は私が思った通り BeauSoleil フォロワーなのだった。

Mitch 「Charivari は BeauSoleil のカヴァー・バンド」とか冗談言ってた。(勿論冗談ですよ)
私が BeauSoleil タイプが好きなので Mitch のバンドである Charivari も好みだと言う事か。

Atsuko 「あ、BeauSoleil も曲によっては、たまにやりすぎって感じの時もあるけどね・・」
Mitch 「あはは、そうやねえ」
Atsuko 「けど彼ら、同じ事ばっかりしてられへんからねえ、実験的な事もどんどんやらんとあかんのやろうね」
Mitch 「そう、実験的な事ね」
Atsuko 「Steve Riley は凄い上手いアコ弾きやし、自分は絶対あのレベルにはなれないけど、あんまり好みでないの ・・・それと、彼はスワンプ・ポップやりすぎや・・・Lil’ Band O’ Gold の方でやれるんやから自分のバンドで演らんでええのに」
Mitch 「そうそう、僕もスワンプ・ポップ嫌い」
Atsuko 「あ・・私はスワンプ・ポップ嫌いではないですよ・・・それと Steve も、新譜の Bon Reve は好き。 あれは良いよね、といいつつあれ聴くと、どうしても耳がギターに行くけど」
Mitch 「ああ、Sam は良いよね」
Atsuko 「Sam Broussard にはもっと Steve Riley を解きほぐしてもらいたいなあ」
Mitch 「解きほぐす? 」
Atsuko 「そう、Steve って、固い (Rigid) と思うの・・・」
Mitch (頷いてる)
Atsuko 「Sam って、なんかこう、バンドを変える事ができるっていうか・・・T−Mamou から彼がが抜けた時、凄くがっかりしたもん」

 Mitch Reed はミュージシャン以外に Lafayette の北にある Louisiana Heritage and Gift Shop というお店をやっている。 お土産物も売ってるけど、CD、楽器もあり、土曜にはジャムセッションが行われる。 プロのミュージシャンも良く出入りしていて中古のケイジャン・アコーディオンもたまに入る。 Mitch の奥さん Lisa は、Ann Savoy の女性だけのケイジャン・バンド Magnolia Sister のベース弾き。 お父さんは、その T−Mamou でアコーディオンを弾いていた Bob Reed でフィドルも弾く。

Mitch 「親父が音楽演るの、お袋があまり好きでないんや、焼きもちやくの」
Atsuko 「ああ、それはミュージシャンとして辛いですね」
Mitch 「僕の奥さんは彼女自身がミュージシャンやし、理解してくれてるよ」
Atsuko 「彼女、奇麗な人ですね・・・そうやね、ミュージシャンってお客さんと話するのも仕事の一部やもんね」
Mitch 「そう、演奏する時はちゃんとした服着て僕は男前〜!って思い込まなあかん」
Atsuko 「ははは、バンドのアコーディオン弾きが可愛かったら、それでお客さんCD 買うてくれるかもわからんしね」
Mitch 「あはは、そうやね、何でも助けになる事はせなあかん」

 Mitch は去年の秋、San Antonio 近郊のケイジャン・フェスに親父さんと一緒に来てうちの息子も見ている。

Mitch 「たしか、子供いたよね? 」
Atsuko 「そう、今8歳で今年9歳になります」
Mitch 「息子さん、音楽に興味ある? 」
Atsuko 「全然あきまへん、私がアコーディオン弾いてても知らん顔・・・彼のおじいちゃんがコンフントのコンポーザーやから、 3ローのアコーディオン弾いてくれたらええなあと思ってるんやけど」
Mitch 「ああ、そうなん、けど、その年頃やとそんなもんやろうね、僕もそうやったもん、全然 (ケイジャン) 音楽に興味なかった」
Atsuko 「え? あなたもそうやったの? 」
Mitch 「そう、僕、フィドル弾きだしたの、20歳超えてから」

それにしては堂に入ってるなと思うと、他の楽器でクラシックを演っていたとか。 どんな楽器でも若い時に始めていれば違いが出るので、納得。

Atsuko 「そうそう、友人が C のキーのアコの件であなたにメールしたでしょ? 」(Yoshitakeさんの事)
Mitch 「そう!」
Atsuko 「彼ね、本物のケイジャン・アコ持ってるんですよ、B フラット。彼はその B フラットがとても気に入ってるんやけど、 セッションとか人に頼まれて弾く時とか、どうしても C が要るんで安い C を探してたの」
Mitch 「そう」
Atsuko 「彼、安い Hohner の C を元々持ってて、結局それを改造したみたい。ボタンが固くて弾きにくいから、スプリング直したりして」
Mitch 「そう、けど最近の安いアコって中国製やろ? そういうの日本は (近いから) こっちよりも安く入手出来ないの? 」
Atsuko 「うーん・・・値段はこっちと同じくらいか、ちょっと高いかも? 」
Mitch 「そうなんかー」
(っちゅうか、需要がないから売ってないんと違うか、と後で気づいた)
Mitch 「友達に、いつでも電話してきて、って言うといて」
Atsuko 「あー、ありがとう、けど彼、会話はあまりまだ得意でないかも? 」(ですよね? ) ※そうです。メールが精一杯です(笑)/ yoshitake
Mitch は日本人でケイジャン音楽をやってる人に会った事があると、ここの掲示板にも来られた湯浅さんの話などをしていた。

 Charivari と掛け持ちで Lafayette Rhythym Devils の他、Celjun というバンドもやってるらしい。 これは、Celtic + Cajun のバンドで、一体何やるんやろう? 3週間後の Festival International には出るらしい。

Mitch 「来たら、見に来て」

 Mitch は、とても良い人である。人と話しをするのが好きなようだし。 その辺で、お腹空いたし、ご飯食べに行こうと言う事に。 Jimmy はもうご飯に行ったよ、彼、ランチタイムを「Food Lab」と冗談言ってたよと。

 Conference Center に行って駐車スペースを探してると、Marce Lacouture (マーシー・ラコーチュア) に会った。 ちょこっと挨拶。 彼女のレクチャー、聞きたかったなあ。

 お昼は Shrimp Etouffee だった。 色んな野菜やミカンも入ったサラダには何故かインスタント・ラーメンが砕いて入れてあった。 食堂が結構込んでたので David Doucet の隣で座って食べた。

 David のクラスを取った感じの人が彼にピック・ポケットをあげていた。 これはピックを入れられる小さいキーホルダーなんだけど、カンガルーかウサギか何かの可愛い絵が書いてある。 「Pick Pocket」というのは「スリ」の意味もあるので変な名前ー!と回りの人一同笑っていた。

 David とは殆ど話した事ないんだが無視してるのもなんなので

Atsuko 「New Orleans はお好きなんですか? 」
David 「もう20年住んでるからね・・姉が (場所失念、New Orleans よりもっと東) に住んでて、 Michael はここ (Lafayette) やから僕は丁度真ん中に住んでる。まあまだこっちに家もあるんやけど、あまり帰ってこないね」
Atsuko 「月曜、まだソロで演ってはるんですか? 」
David 「やってるよ、Columns Hotel で、家から近い所、ツアーに出てない時はいつも演ってるよ」

 前に座ってるおじさんが私がいつも写真撮ってるので、何に使うの? という話から Yoshitake さんのサイトの話になった。

おじさん 「そのサイトのアドレス、何? 」
Atsuko 「えっとね、www.zydeco.jp やったかな? トップがザディコ・フェスの看板の前でラブボード弾いてるの」
おじさん 「それ、見た事あるよ、うわーっと思った」
Atsuko 「ははは、そこのトップに私の名前が有るから、それクリックしてもらえば見られますよ」

(文字は見られないけど、見られたとしても、どうせ読めないだろうからなあ)

 この昼もご飯のときに演奏ありだが、朝からあまりに色々詰め込みすぎて集中力が散漫している時間だったので誰が演っていたか覚えていない始末。 う〜ん・・・誰やったんやろう?

 昼からはパビリオン2で Creole Style Accordion & Fiddle,Dexter Ardoin & D’jalma Garnier。 実はこれも Ed Poullard のフィドルの予定だったのだが、変更。 裏で Paul Daigle の Accordion Technique のクラスあって、Jimmy のクラス取った人は殆どそっちに行ってるのだが、 Dexter 君の演奏を見る機会を逃したくなかったので私はこっち。


 Dexter のアコーディオンはトラディショナルではあるけど豪快な感じがする。 3オクターブ弾き多用だけど 4つボタン弾き (ブレンド) も、かなり使う。 Geno Delafose もそうなんだけど Geno はもっと繊細な感じがする。

 質問がありますか、ってんで「ザディコとクレオール音楽で、アコーディオンのスタイルや弾き方はどういう違いが あるのですか? 」と聞いてみたのだけど、あんまり明確な答えが得られなかった。 彼ら、あんまり考えて演ってる訳ではないだろうから、納得。

 Dexter は生まれて育ったのは Duralde で、祖父 Bois Sec のすぐそばらしい。自転車で行けるくらいとか。 Duralde は木がいっぱい生えている所・・・・何やそれ? 砂利道も多いでしょ、と言うと頷いてた。



 終わってすぐ向かいのパビリオン1の Paul Daigle にも行ったらまだやってた。この人もかなり上手い。 というか、好きなタイプの方のアコーディオンなのでそのうちゆっくりと見たい。
(Conference Center の出店で、彼のバンド Savoy Faire の CDを買ってきたがとても良かった)
※Paul Daigle の Accordion Technique のクラス
(インレイの美しいアコーディオン)

 昼からも Marce Lacouture のレクチャーがあったので、それも見たかったが身体は一つしかないいいいい。

 Conference Center に戻り、今日の Master Session は昨日の夜見た Walter Mouton と U.J.Meaux。 行ったらもう始まってた。


左 / Walter Mouton に飛び入りの Jimmy Breaux(左が義父の U.J.)
右 / U.J.Meaux、Walter Mouton、Blake Castille

 数年前の Crawfish Festival で Walter Mouton のレクチャーを見た事がある。 偶然その日、Jimmy Breaux が彼のソロで出演していて会場にいたのでレクチャーにも飛び入りして Walter と二人でアコーディオンを弾いた。 あの時はキーとかメモしてなかったんだけど、C と B フラットだったらしい。 その時の事にちょっと触れて、今日は (今日も? ) Walter が B フラット、Jimmy が C で同時に演奏した。 (Jimmy はアコを持ってきていなかったので、生徒さんの一人から Martin を借りた)
それで思ったんですが、なんや、この二つでも合わせようと思えば合わせられるのか。 というか、この二人やからかも知れないけど。 で、この二つのキーの場合、それぞれの蛇腹の押し弾きが逆になる。 Jimmy は数曲共演して、また Walter Mouton の演奏に戻る。

 この後、またバスで Whiskey River Landing に行って Geno Delafose を見に行くのだが・・・。 Larry さんのブースに寄ったら C.F.M.A.主催のアコーディオンが当たるラッフル・チケットを売っていた。 リードの入っていないアコーディオンがあって「当たったら、好きなキーにしてあげるよ」と。 こういうのは当たった事はないんだけど、5枚買った。 名前と住所を書いていたら時間が遅くなったので急いでバスまで行くと出る寸前の感じだった。 おーい、と手を振って待ってもらった。 後から来る人もいたが。


 今日のバスはそれ程混んでないので横になって寝た。 連日早起き、深夜までで、さすがにキツイ。 おまけに今夜のジャムには何らかの形で参加するぞ、と思ってるので。 途中、やっと携帯の電波が届く所まで来たので家と友人に電話する。



 Whiskey River は予想通りとはいえ、ぐつぐつに混んでいる。 駐車場からして混んでいる。 中に入るが真剣に混んでいる。 それでも Geno のファミリーや友人を見つけ、挨拶しに行く。 元々 Austin に住んでいて Geno を追っかけて? Eunice に移住したカップルも来ていた。

 もうバンドは演奏たけなわ。 最近、Curley Taylor が独立してバンドから抜けたのだが、新しいドラマーは Geno の甥っこの Gerard Delafose だった。 Geno の所では前からたまに飛び入りでドラムも叩いたりしていたし、妥当な人選である。 Gerard は自らアコーディオンも弾く。 しかし、Curley の穴埋めにはもう少し時間がかかりそう。 彼はパワフルで良いドラマーだったもんね・・・

 スワンプをバックにステージを見るロケーションは最高なんだが、連日禁煙の催しなので、このハコの煙臭いのに参ってしまった。 少しダンスしたりしたけど、とにかくフロアもぐつぐつなんで外に出て人と話す。

 ディナーが駐車スペースのテントで配られている。 お腹は空いてないけど、喉が渇いたので水を取りがてら少しだけ食べる。 T−Sale のアコ弾きで Louisiana Folk Roots のメンバーでもある Jean Jacques Aucoin (アゥコワンという感じの発音) と奥さん、 赤ちゃんがいて、今まで話した事ないけどなんとなく話す。 彼はア・カペラのグループ Veillee のメンバーでもある。(11月8日レポート参照)
最近の Veillee について聞くと、Festival International を最後に、David Greely が抜けるそうだ。 んー・・Veillee は存続するのだろうか?

 Jim & Christiyとか、知り合いも来たので座ってのんびり。話に花が咲く。

 しばらくして、荷物も置きっぱなしになってるので中に戻る。 ダンス・フロアの横に、見覚えの有る顔が・・・あれぇ? 今頃オースティンに居る筈の Steve Riley のベース弾き違うの? ? なんで?
しかし、朝からあんまり詰め込み過ぎて名前が出てこない。 びっくり顔して「あなたの事、知ってると思うんやけど・・」というと、向こうも私の事を良く見るよ、と。 兄弟が Steve Riley でベース弾いてるというので、ああ、そうか Brazos Huval (ヒューヴァル) の兄弟かあ、とやっと納得。 それにしても体型から顔の雰囲気まで Brazos にそっくり。

Atsuko 「従兄弟の Adrian (Bluerunners のアコ) も知ってるよ・・・あなたもお父さんのバンド (Huval Family Band) で演奏してる? 」
と聞くと、アコーディオン演ってるらしい。 Huval ファミリーは Breaux Bridge に住んでいて、Crawfish Festival の時は出番がなくても毎日遊びに来るので、 いつもあのフェスで Adrian と話してる私の事は覚えてたのだな。

 フロアーでは、Patsy Report の Patsy さんや常連ダンサーもいる。 ちょこっと写真撮ったり、踊ったり。 キャンプ参加者は首から名札を下げているのですぐにわかる。 常連ダンサーにも「今回はこれで来た」と見せびらかしていた。

 キャンプ参加者の禿のオジサン (失礼) が近くに座って話を始めたのだけど、 Whiskey River があんまり混んでて煙臭いのでそろそろ帰りたくなる。 外を見ると Larry さんと奥さんが帰って行かれるのが見えたので乗せていってもらえば良かった、と思う。 外に出て人と話すると Larry さんはお家に帰られたそうだったけど。

 桟橋でのんびりしてたらキャビン同室のフィドラーさんが居て「今日何見たと思う? 」というので 「アルマジロ? 」「当たりー」話とかしてると、彼女はこれから車で来た人に乗せてもらって帰るらしい。 同乗させてもらえる、との事でバスの運転手さんに「ジャムに行きたいので知り合いに乗せてもらって先に帰りま す」と伝えニュー・ジャージーの人のレンタカーでキャンプに戻る。 同室の彼女、Kay はシアトルから来ていて何と初めてのルイジアナがこのキャンプという非常にラッキーな人。 こんな濃いイベントで初めてルイジアナに来れば嵌まる事この上ないだろう。 彼女はフィドルも始めたばかりであまりバンドの名前も知らないらしく色々情報をあげた。

 キャビンに帰って速攻でお風呂に入り、服も全部替えて、ジャムへ出発。 Kay は明日 New Orleans に12時過ぎの飛行機に乗らないといけないらしくジャムには行かないよう。 その頃にはバス組も帰ってきた。


 Conference Center に行くともう盛り上がってます。
今日のジャムの主催は Dexter Ardoin と Mitch Reed
Whiskey River に行くと言ってた Jimmy Breaux もこっちに居た。

 Cheryl さんがギター弾いてるし、Todd Mouton はフィドル、奥さんの Jen はギター弾いてる。 Jim もフィドルを弾いているし、圧倒的にフィドルとギター人口高し。 というか、アコーディオンはプロの人だけだったような。

 Jimmy が休憩中の Mitch Reed に私の事を「彼女、凄く良くやったよ」と言ってくれる。

Jimmy 「一人ずつ回ってる時もあんたが練習してるの聞いてたけど、音取るの早いし、おお、と思って聞いてたよ」

いやー、メロディとかオクターブが違ったのでやりにくかったけど両方とも何度も練習した曲やったんで、 すぐに出来るようになっただけど思うけど、一応そう言ってもらって、ありがとう。 というか、一年やってたらもっと弾けるようにならんとあかん、と思うけどなあ。

Atsuko 「実は、3週間後に戻って来るかも知れないんです。Festivals International に。
Michael はフェスには出るからツアーしてないと思うんやけど・・・彼抜きで行けないもんね」

Jimmy 「そう、出来ない・・・けど、フェスの中日か何かにフロリダで一日演るよ」
Jimmy 「今日は Walter (Mouton) と演って、本当に良かったー、彼、僕のアイドルやから」
Atsuko 「そうですか」
Jimmy 「僕もあの年になっても、あれだけ弾けたらええなあ」
Atsuko 「もっと良く弾けるようにするのは? 」
Jimmy 「え? あはは、そうやね (手を見ながら) リューマチとかかからないように気をつけんと」

リューマチで弾けなくなった人知ってるのね、きっと。

Atsuko 「あなたはスポーツとかするんですか? ジムに通うとか」

答えは明快でなかったが、一応何かはやってるらしい。 背はかなり低いけど、がっしりしてるし。

 Jimmy はいつも他のアコ弾きを誉める。 違うタイプの音楽でも「あんな風に弾けたらええねー」とか。 中にはどう聴いても Jimmy の方が上手いんとちゃうか? と思う人も居る。 こういうあたり、人を尊敬できる人なんだなあ。 「はははー、ワシが一番ぢゃあああ!」と思ってる奴の多いショウ・ビジネスの世界ではもしかしたら異端児かも知れないが。

 先乗りアコについてしつこく聞く。 なんでああいう乗りなのかやはり不思議なんやもん。 あの方が心地よいからか、必然性が有るのか? 楽器はドラムから始めたというのはやはり彼のアコーディオンにかなり影響してるみたい。

Jimmy 「始めはフィドルを取り上げて、家族全員、それが僕の楽器になると思ったんやけど、結局弾かなくてドラムで始めた」
Atsuko 「けど、アコーディオン弾きってドラム演ってた人多くない? あなたとか、Geno Delafose とかもそうやし」
Jimmy 「そうやね、そう言うたら」
Atsuko 「ああ、ええアコーディオン弾きはドラムやってた人多いって言わんとあかんかな? 」

実際、アコーディオン弾きで、ドラムも演れる人はかなりいる。 ちゅうか、ケイジャン・アコーディオンってリズム楽器やと思います、私。 メロディとか音外しても、リズムさえ外さんかったら何とかなる。

Atsuko 「実は私も、大昔、ドラム演ってたことあるんです。どのくらい前かは言わんとくけど」

思うに、このあたりが私が先乗りアコに惹かれる理由かも知れない。 Jeffery Broussard (Zydeco Force) のアコにも嵌まるもんなあ。

Jimmy 「演奏する上で一番やったらあかんのはね、リズムを引きずる事 (Drag)。ちゃんとキープせなあかん。
僕、セッションとかでもいつも足でリズムとってるやろ」
かなりドン、ドン、とやってるのは皆に聞こえるようにやってるとか。 なるほど。 俺が、俺が、タイプでは絶対にないけど自分の主張はちゃんと持ってる人ですね。 というか、他の人がやり易いようにという配慮もしてるのか。

 Jimmy が話の途中で名前が出てこなかったりして

Atsuko 「私もそう、今回あんまり色々あって、ど忘れしっぱなし」

先ほど Whiskey River で、Brazos Huval と弟を取り間違えてびっくりした話をする。

Atsuko 「彼ら、似てるのねえ」
Jimmy 「そう (あの家族) みんな同じような顔してるよ」
Atsuko 「あんまり普段、間違えないんやけどね・・・あ!けど、白状すると、 あなたとお兄さん (Pat) が同一人物と思ってました、昔」
Jimmy 「あはは」
Atsuko 「ホンマは年もだいぶ違う (10歳くらい違う) のにね・・・それに気づくのにだいぶかかった」

 Jimmy は男3人、女一人の末っ子で、一番上の兄 Gary もミュージシャン、次の兄 Pat は Jimmy 加入前に 一時期だけ BeauSoleil でアコーディオンとサックスを担当していた。 Jimmy は88年の夏から、BeauSoleil のメンバーになった。 Pat は現在、Lil' Band O' Gold のメンバーだが、Rosie Ledet のCD などでも彼のサックスを聴く事ができる。

Jimmy 「BeauSoleil Trio は凄く楽しかった。またやりたいなあ・・・僕、アコースティックで演るの好きやねん。 バンドやとドラムとパーカッションと音ありすぎでうるさい、ってたまに思うから・・・ あ、僕がドラマーでもあるのにこんな事言うたらあかんけど」
Atsuko 「是非、是非、是非また3人で演ってください」
Jimmy 「そうやね、Festivals Acadiens の Pat Mould のテントの方とかでね」
Atsuko 「それは絶対、良いアイディアやわ」
Jimmy 「Pat はシェフでね・・・」
Atsuko 「そうそう、今回このキャンプに来てくれると思ってたのに見ませんね」
Jimmy 「そうやね」
Atsuko 「彼、面白い人ですね」
Jimmy 「そう (笑)」

Atsuko 「ところで、BeauSoleil の新譜は? 録音してます? 」
Jimmy 「うん、今ミックス段階」
Atsuko 「そう、録音終わったのね、良かった」

この水曜かに録音が終わったばっかりらしい。 Dockside で録音していたらしい。

Jimmy 「録音が終わったとき、その Pat Mould が料理しに来てくれたよ」
Atsuko 「新譜の内容、聞いても良い? 」
Jimmy 「んー・・・Michael に誰にも言うなって言われてるからなあ」
Atsuko 「あ、それら聞かない、あまり鼻を突っ込むの好きやないから、けど、Vanguard から出るの? 」
Jimmy 「そう」

で、ちょびっとだけで、トラディショナルなのと、そうでないのが半々くらい。 ダブル・フィドルだけのチューンとフィドルとアコだけでDavid が歌ってるのがあるらしい。楽しみ。

 そうこうしてると

Jimmy 「あ、僕、行って弾かなあかん、これ BeauSoleil の曲やから」

 Mitch Reed が News Reel を始めたのだ。 いっつも仕事で弾いてるというのにセッションでまで・・・律義な人なんだろうか?


 ジャムは徐々に乗ってきて Jimmy がアコに代わった頃にはかなり盛り上がった。 皆の息が合ってきたという感じで、プロもアマも、皆本当に嬉しそうに演っている。 皆でわははははーって笑いあったりして。 私は後ろの方で Jimmy の手を見ながらフレーズを取ってみたり、和音を取ってみたり程度だけど、 こういうのでも、実際に見ながらやると為になる。 このあたりはアコーディオンの利点ですけどね。 フィドルは見てもこれほど解らないもんね。


 Cedric Watson が後ろの方でおどけた踊りを始めた。 彼って面白い人なのね。 Jim も加わってアホダンスをしていた。

※Cedric の右に居るのが Jim で、踊ってるのが奥さんの Christy、フィドルは Jonno

 早い曲ばっかりでついていけなくなったのでトライアングルに挑戦。 しかしこれも見ている程やさしくない。 すぐにリズムを崩してしまい立ち往生何回か。 Dexter Ardoin が後ろで見てたのでちょっと叩いてもらう。

 私は特にワルツが駄目だったので (去年の11月8日レポート参照) 今回は気をつけて曲のグルーヴに合うように叩いてみた。 同じワルツでも曲によって微妙にリズムが違う。 これは座ってずっと気をつけて聴いてみないとなかなか解らないかも知れない。 まあ、それを感じ取れるようになったのは収穫で、これはアコーディオンを弾くのに絶対必要なので良かった。 トライアングルをミュートしながら後ろで控えめにやってたら Cheryl Castille さんが手招きして前に座らされた。 Jimmy のアコの伴奏で出来てこれも至福。 彼の足踏みを聞きながらだとこっちもやりやすかった。

 この間、カズコさんはずっと音楽を聴いたり色々な人と話ししたりしておられた。 最後には誰かにトライアングルを習ってはりました。


 若いクレオール・フィドラー Cedric Watson といつも行動を共にしているクレオールのおじさんは、James McAdams という。 彼の経歴については良く知らないが、いつも Cedric の横でギターを弾いている。 多分、Cedric を初めて見た去年の Festivals Acadiens でもステージに居たと思う。 Houston に住んでいるというので、3週間前に Zydeco Jamm Festival に行った話をする。 彼はあまり Houston Zydeco は好きではない様子。

James 「あいつら、アコーディオンの弾き方も知らん」

James の言う事はとても良く解るのだが

Atsuko 「私、トラディショナルは勿論ですが新しいのも好きです」
James 「ひとりだけ (Housotn で) 弾き方を知ってるのは Step Rideau やな。彼はトラディショナルも弾ける」

為る程。 Step のアコーディオンはしっかりしてるとは思ってたので、納得。 ザディコもやっぱりトラディショナルとか、クレオール音楽をちゃんと演った上でしないとな。 Chris Ardoin なんか全部弾ける上でああいう事やってるんやもんね。

 こうやって色んな人と話してる間にもセッションは進む。 James に「今の曲名、何ですか」とか教えてもらってメモする。

 夜中の2時頃、Jimmy が居なくなり、他の人たちも抜けかけたので私もキャビンに帰る。 本当に楽しい夜だった、というか、この夜が今回のハイライトだった。


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