9/19 (Sun) atsuko レポート

 朝起きると、やはり喉がいかれていた。何とか喋れるけど、Cedric に余った喉の薬をもらう。

 今日は昨日に比べると、涼しい。 いつもの Festivals Acadiens の気候になった。 昨夜 Jim ご一行はフェスのあとライブには行かず、Blue Dog Cafe で晩餐だったそう。 それも楽しかっただろうなあ。 私は Grant Street のいきさつを話す。 Christy はルイジアナの電気事情は後進国並に悪いと言っていた。 電気事情だけではないのだが(笑)・・・って、住んでる人には笑い話ではない。

 また出かけるのが 11 時頃になったので、ラジオで KRVS のフェス生中継をかけながら行く。 Blake Castille の居るバンド Lucky Playboys が始まった。 会場近くに着いたのも昨日と同じくらいだが、今日はもっと近くに停められた。

 まずは Lucky Playboys の「生」演奏を見に行く。 アコーディオンとフィドルが、元 File(フィレー)のメンバー Ward Lormand で、なかなか楽しい。 しかし、時間が重なっている(David Greely が昨日「おいでや」と言ってた)Varise Connor のトリビュートCD発売記念も見たいので、 中途でそちらに行く。

 Varise Connor はオールドタイマーのケイジャン・フィドラーで、もう亡くなっているのだが、今回彼の残した音源での CD が発売された。 Barry Jean Ancelet が左端で司会、その横にフィドルの David Greely、そして Varise の家族が数人、ギターを持って座っている。 ステージ脇で CD を売っているのだが、それに入っている曲のエピソードを Barry が話したあと、演奏が始まる。 こういう、どアコースティックなのも和んでよろしいね、といいつつ、知り合いに会ったので話で時間も食ってしまった。


Varise Connor CD 発売記念

 そのあとメインステージに取って帰って、クレオール・アコーディオン単音弾きのマスター Preston Frank を見る。 昨夜一曲だけ聴けた Keith Frank とそのバンドがバックについているけど、今朝は Keith の甥っ子、姪っ子もステージで踊っている。 姪は相変わらず可愛いが、甥はやる気なさそう。 脱力感一杯に踊っている、というか揺れてるだけ? さすがにいつも「やる気なさ満点」という感じでベースを弾いている Jennifer の息子だけある。

 Preston が始まる前に Yoshitake さんに会ったので、昨夜の顛末を聞く。 お二人は私が帰ったすぐあとくらいに Grant Street に行かれたのだけど、結局トランスは修理できて、 1 時頃に Keith Frank は再開したらしい。 二時間くらいしか演らなかったけど、とにかく見られて楽しかったそうです。 しかしまあ、それでは遅すぎたので、私は帰って正解とは思う。

 今日は夕方、ご飯を食べる暇がないかも知れないので Preston が終わったあと、フードブースにお昼を食べに行く。 色々買って、芝生に座って、Robert Jardell ケイジャン・バンドの演奏をバックに Yoshitake さん達と食べる。 その間の話は ザディコからコンフントから家族の話から援助交際まで、多岐に渡った。楽しかった。

 Ray Abshire を見にテントに行く前に、ちょこっと Wayne Touos を見に行く。 昔に比べてよれましたなあ、ははは。 昔はアコーディオン持ってくるくる回りながら弾いてたが、それもおとなしくなった。 Falcon の 6 ストップのアコも、かなり擦り傷だらけになっとった。 しかし観客の数はとても多くて、やはりスターなのだ。 という訳でなつかしいファースト・ソロの Mon Ami を含む数曲を聴いてテントに向かう。


 Ray Abshire は Lost Bayou Ramblers のメンバーをバックに演奏が始まっていた。 この人もオールドタイマーなんだが、ちょっと前のりのアコーディオンを弾く。 昔、Balfa Brothers でも演っていたりした人なんだけど、最近また良くあちこちで演っていて、観客の受けも良い。

 Ray の演っているテントの後ろの方から、両腕に刺青が入ってサングラスをかけた恐そうな兄ちゃんが、 こっちに向かってにっこり手を振っている。 こ・・こんな恐い兄ちゃん知らんぞ、と思って良く見ると、Bluerunners の Mark Meaux ではないか。 フィドルのチューニングをしているから解ったものの、いつものスキンヘッドの上に、新しい刺青が両腕に入ってて、 見た目ますますヤクザになっていた。 Mark の奥さんに来年1月くらいのリリースという Bluerunners の新譜の事など聞く。 自主レーベルから出すとの事。 アコ弾きの Adrian Huval もテントの後ろで誰かと話していたので、行って挨拶する。 いつもお馴染みの黒いTシャツだった(笑、黒Tばっかり持ってるらしい)

 Bluerunners が始まって少しすると、Adrian の親戚でもある Huval 兄弟やその周辺の一団がどどどどっとやってきた。 前に陣取って、「うおー」と、大騒ぎしておる。 金曜の Chris Ardoin の時もそうだったし、彼らはいつも兄弟親戚で行動しているのか? 今日はまるで Bluerunners 親衛隊みたいだ。 盛り上げているのか、邪魔しているのかよくわからないが。

 Bluerunners は基本的にロック・バンドと言うても差し支えないと思う。 けど、彼らのケイジャン・チューンはかなり好きなのだ。 メンバーの一人がペダル・スティールとラップ・スティール、サックスとラブボードを担当するのだが、 彼のペダル・スティールもロックしていて、ほぼスライド・ギターの響きで、これなら、うるさくても許す(笑)。 新譜はブルージーになる、と以前 Mark が言ってたのを裏づけるようなステージで、Adrian のクロマチック・アコ使用率も高かったような気がする。 お気に入りの Happy Rabbit は演ってくれんかったが(怒)。 ダンサーの中で Cedric Watson も踊っていたけど、あとで「Bluerunners はええバンドやー」と言うてた。

 次に出る Traiteurs のメンバーがなかなか到着しないなあと思っていたら、Bluerunners の途中でぱらぱら来だしたので、挨拶しに行く。 Traiteurs は基本的にセッション・バンドなのだけど、基本メンバーは決まっている。 このところ続けて不参加だったアコーディオンの Errol Verret が居たので安心する。 Errol は 15 年ほど前までは BeauSoleil のアコ弾きだったのだけど、ちょっと後ろの乗りの、エレガントなアコーディオンを弾く。 私はフィドルの Al Berard と、この Errol のコンビが好きなので、来ないと悲しい。

 Zachary Richard も居るので、また歌うのだろう。 Traiteurs は見に来るミュージシャンも多くて、色んな人がテントの回りにいる。 誰が飛び入りするのか良く分からない。

 Sonny Landreth のギター・テクニシャン Jason がアンプを運んできたので、「久しぶりー」と挨拶。 この夏 Sonny はツアーに明け暮れて、とても忙しかったらしい。 Sonny 本人はミュージシャン用の駐車場で、ご両親を待っていた。 色々話して、このフェスの後の Bluemoon Saloon は何時から始まるのか聞く。 予定には7時とか書いてあったけど、やはり 8 時ごろと。 Sonny は何か食べてから行く、との事なので、こちらも急がなくても良さそう。

 テントに戻って、またいろんな人と話すと、Sonny のご両親がやって来た。 とても上品そうな夫婦で、ぱっと見て Sonny とあんまり似てないけど、お父さんの口元が似ている。

 Festival Acadians のテントでの Traiteurs は、いつもサウンド面で問題があったり、飛び入りが多すぎてまとまらなかったり、 なかなか「これ」という日がない。 去年はフィドルが聴こえなくて、いらいらした。 今日はサウンド面は許せたが、出来としてはまあまあ。




飛び入りは Zachary Richard(歌)、Roddie Romero(ギター)、Louis Michot(フィドル)、Blake Castille(ギター)、 Dirk Powell(フィドル)。
・・・すんません、気の入ってないレポートで。 けど、ほんまに私も気が入ってませんでした。

 Traiteurs が終わり、今年のフェスも終了。 別のステージで演っていた Balfa Toujours と Steve Riley は見られず。 会場は片づけにかかる。 Jim ご一行がいたので聞くと、彼らも Bluemoon の Traiteurs に行くんだけど、行く前に何か食べに行くとか。 日曜の夕方に開いている所は何処か?と相談して、すぐ近くのオイルセンターにある Pick a Deli(?)という店なら 大丈夫であろうという話になる。 道を聞いてそれぞれの車に戻って出発。 Jim ご一行の車が行った方向に走ったが、それらしい店がない。 おかしいなあ、と Jim の携帯にかけたら、道は合ってたのだけど、全く反対方向だった。 おまけに、デリと思っていたら、Piccadelly という名のカフェテリアだった。

 駐車場に車を入れたら、Sonny Landreth が居た(笑)。 財布を車に忘れたので、取りに来たところだったとか。
「私、あなたのストーカーやってんです」と冗談を言う。 Jim の車が Sonny の隣に停めてあったので、ここだと確認。 中に入ると、ちょうど Jim が列の最後に並んでいるところだった。
「今 Sonny が出て行った」と言うと、笑ってた。 席にいくと、総勢 8 人くらいだった。

 このカフェテリアはチェーン店なのかどうか知らないけど、南部に良くある Luby’s と仕組みがそっくり。 自分で好きなものを取ったり、頼んでトレイに乗せて行く。 サラダが食べたかったので取ったが、あまり新鮮ではなかった。 甘いものも欲しかったので、チョコレートパイも取るが、まあまあの味。 Cedric はシュリンプ・クレオールを取ったのだけど、「ひどい味(Nasty)」と言ってる。
「こういう所で、ルイジアナ料理を取るもんではない」と、経験よりの忠告をする。 あまり不味いので、他のものに交換してもらいに行っていた。 Jello(ゼリー)も不味いというので、食べてみたら変な味。 これはきっと、ダイエット用の Jello に違いないと言う事になる。 Cedric はここでは災難だったなあ、ははは。

 午後 8 時を過ぎたので、皆それぞれの車で Bluemoon Saloon に向かう。 予想通り周辺は混んでいた。 駐車スペースを探していると、先のカフェテリアで一緒だった人も同じ所に停めていたし、 Heritage Weekend で知り合いの Dave もやってきた。 8 時 20 分頃、3 人で一緒に Bluemoon に入ると、6 ドルのチャージを Dave が払ってくれていた。 いやはや、そんな事して頂かなくてもいいのに、どうもありがとう。 南西ルイジアナは住んでる人も、音楽目的で他所から来る人も、ええ人が多いなあ。 中に入ると勿論混んでいて、演奏がまさに始まろうかという所だった。 グッドタイミング。

 私は一応 Sonny のストーカーなので、ステージの左端っこに座って Sonny の足にしがみつくか?という距離で見ていた。 っつうか、ぐつぐつに混んでるんで、なかなか場所が確保できないんだよお。

 Traiteurs はこっちの方が夕方のフェスの演奏よりずーーーーーーっと良かった。
メンバーの気の入りようが違う。 全員の音ががっちり噛み合っている。 同じ曲も結構演ったので、先のはリハーサルだったと思う事にしよう。 こういう風にまとまると、Sonny ももっと自由に弾いている感じがする。 そういう意味では、Al のフィドルも、Errol のアコーディオンも同じだけど。

 フロアでは一応踊っている人もいるが、こんな狭いスペースなので大変。 私は前半写真を撮っていたけど、後半はカメラをメンバーの後ろの機材の狭間に隠して、楽しむことにした。 中林さんとダンスの基本ステップをしたりした。 Jim ご一行は途中で居なくなったので、何処かに行ったのかな?

 最後の曲で、Ray Abshine が飛び入りで歌った。 演奏が終わったのは結構早かったような気がする。


 そのあと色んな知り合いと話したり、メンバーと話したり。 Errol Verret とは殆ど喋った事がないんだけど、アコーディオンのキーが知りたかったので聞いてみると、 予想通り「 D 」だった。 これは Al Berard の声のキーが高いからだそう。 彼は Traiteurs の時、いつも同じアコーディオンを一台しか持ってこないので、いつもそうだな。 Al と Errol のコンビによる Basin Brothers の Dans La Louisianne の CD('94 )では、 「 C 」と「 D 」を使っているとの事でした。

 Errol がいつも使っているアコーディオンは自作の「Evangeline」。 彼は以前このブランドのアコーディオン・ビルダーだったのだけど、現在は一般に作っていない。 フラップボードのブランドの所にEvangeline Oak の絵が入っていて、木目がとても奇麗なアコなので、残念。 紫とかは作ってくれそうにないタイプだけど、こんなに奇麗なら、売ってたら「 D 」のキー購買を考えるぞ。

 ドラムの Danny Kimball はおちゃめな人で、この近所に住んでるというので 「歩いて帰るんですか?」というと、ドラムセット持って帰らないといけないから、車で来たと。 ごろごろ転がして帰るのもええんでない? なんなら手伝うけど(笑)。

 今日のというか、普段の Traiteurs のメンバーは
Sonny Landreth(ギター)
Al Berard(フィドルと歌)
Errol Verret(ケイジャン・アコーディオン)
Gary Newman(ベース、時によってアップライト使用)
Danny Kimball(ドラムス)
Tony Latiolais(アコースティック・ギター)
Valerie Beliziare(トライアングル)
Pat Mould(トライアングル)
なんだけど、この中でミュージシャン専業は Sonny と Al だけ。
Gary Newman はスワンプ・ポップのスター Jimmy C Newman の息子だけど、 本職は他に持っている。 Danny はケースワーカー。 この二人、古くから Lafayette 周辺の色々なバンドで活動してきた人達ではあるんだけど。 Errol Verret は元は BeauSoleil にいたけど、 今は専業ミュージシャンでなく、家具の製作をしているらしい。 Pat Mould はシェフで、ローカルでは有名人、New Iberia にクッキング・スクールも持ってるし、本も出してる。 といった色々な職業のミュージシャンがだけど、Traiteurs は各自のギャラを Tommy Comeaux ファンデーションに寄付している、 つまり各自自腹で演奏している、基金集めのバンドなのだ。

 帰る前に Sonny と、4 月に Grant Street で録音したライブ CD の話とかをする。 ミックスも全て終わって、あとはジャケットのデザインとかの段階らしい。('05年初頭発売) Medicine Show のプロデューサーでもある Todd Mouton に今年のショウの日程を聞いたりしながら、 Sonny 周辺の人たちと雑談。

 Opelousas に帰り着くと、Cedric が丁度寝る所だった。 私がいつも一番最後だー。



        

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